内容説明
歌舞伎界の生き辞引。先人達の素顔、芸談。現代歌舞伎の至宝。人間国宝・澤村田之助が語る、その波瀾の俳優人生と芸談。忘れえぬ名優たちと“昭和歌舞伎”への想い。
目次
第1章 子役時代
第2章 澤村家の人びと
第3章 思い出の名優たち
第4章 伊東の学生時代
第5章 菊五郎劇団
第6章 田之助襲名以後
第7章 芸のこと
第8章 『神霊矢口渡』紀伊國屋の型
著者等紹介
澤村田之助[サワムラタノスケ]
六代目。昭和7年(1932)8月4日五代目澤村田之助(初代曙山)の長男として東京に生まれる。昭和16年(1941)3月歌舞伎座『伽羅先代萩』の鶴千代などで四代目澤村由次郎を名のり初舞台。以後子役として多くの名優たちと舞台をともにする。昭和21年6月公演の後、学業に専念するため一旦舞台を離れるが、昭和28年(1953)菊五郎劇団に復帰する。昭和39年(1964)4月歌舞伎座『神霊矢口渡』のお舟などで六代目澤村田之助を襲名(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shellgai
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今や歌舞伎界の最長老のひとり、澤村田之助による歌舞伎の歴史にとって貴重な証言。昭和の名優達に子役で使われた思い出や、六代目菊五郎ら名優のエピソードだけでなく、紀伊国屋の古い弟子達のことや、他の家のお弟子さんのことも書かれているのがとても貴重で面白い。父親の事など本来なら言いにくそうなエピソードも率直に書かれている。そして最後に書かれている「神霊矢口渡」の紀伊国屋の型の解説がすごい。祖父七代目宗十郎の型が大伯父初代宗之助との比較も交えながら詳細に書かれていて、紀伊国屋の芸を残したいという情熱を感じた。2012/02/11