内容説明
観客として、製作者として歌舞伎を八十年間見つづけた遠藤為春の座談の数々を初めて集成。戸板康二をはじめ久保田万太郎・円地文子・池田弥三郎といった錚々たる人々との洒脱な会話のなかから、九代目團十郎、五代目菊五郎、六代目菊五郎、初代吉右衛門などの名優たちとその往年の舞台が鮮やかによみがえる歌舞伎ファン必読の書。
目次
私の見た名優(遠藤為春×戸板康二)(四代目芝翫;二つの井戸;市川権十郎 ほか)
菊五郎と吉右衛門―演劇合評会(遠藤為春×久保田万太郎・戸板康二・円地文子・池田弥三郎)(市村座脱退事件;竹ぎらい・菊ぎらい;大蔵卿の涙 ほか)
明治・大正の芝居(遠藤為春×戸板康二)(九代目團十郎のうまさ;観客の反応;初代左團次の新歌舞伎 ほか)
著者等紹介
犬丸治[イヌマルオサム]
演劇評論家。昭和34年(1959)東京生まれ。昭和57年(1982)慶応義塾大学経済学部卒業。歌舞伎学会運営委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shellgai
1
明治時代の團菊左や芝翫、歌右衛門などを語る貴重な対談。他にも6代目菊五郎よりうまかったという市川新蔵の話や、7代目幸四郎が9代目團十郎の勧進帳を正確に伝えなかったとか、面白い。ちょっと團十郎を誉めすぎな気はするけど、どんな舞台だったんだろうと想像すると楽しくなる。2010/10/22
みつひめ
0
初代吉右衛門が(七代目幸四郎もだけど)、かなりケチョンケチョンに言われていて、びっくり。まぁ、團菊爺の人たちから見ると、六代目も結構いろいろと言われたらしいし、時代とともに価値観も変わるので、こういうこともあるんだけれど。市川新蔵さんは、もっと長生きしていたら、ずいぶんその後の歌舞伎も変わったのかな? 2012/02/21
筋書屋虫六
0
なにしろ明治大正の俳優の話なので、役者系図首っ引きで何代目か確認しながら、想像力を全開にして読みました。滲んだ白黒写真だけでは名優と言われてもピンとこないけど、歌舞伎制作の現場から80年芝居を見続けた遠藤為春の言葉に掛かると、9代目團十郎や5代目菊五郎、市川新蔵という役者の魅力や凄さが伝わって来る。例えば、9代目は『助六』の裾を縫い付けないで、仕立てと腰の入れ方だけで綺麗に捌いた…とか。なんだかかっこいい。インタビューする戸板先生のワクワクも伝わってくる。今は映像が残るけどこういう仕事やっぱり大事だな。2011/12/13
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