内容説明
明治後期、徳川家康の謎を追った村岡素一郎の著作『史疑徳川家康事蹟』闇に葬られた書物に六十年ぶりに光をあてた外孫の直木賞作家・榛葉英治初版以来多くの作家に影響を与え続けた名著がより読みやすくなって復活。戦国ファン待望の「新版」刊行。
目次
第1部 村岡素一郎原著「史疑徳川家康事蹟」現代文訳(家康の出生についての疑惑;家康の幼時、駿府の住居地と祖母尼公の身分;家康の誕生と、その父母の身分;家康、幼少期の境遇と、その修業;家康、活動の初期と親族故旧がうけた災厄;家康の飛躍、奮斗;家康の大活躍;家康と、岡崎三郎信康および築山殿との関係;家康の性格)
第2部 解説篇(「史疑」と村岡素一郎;「史疑」の旧蹟を訪ねる;「史疑」のもつ歴史観;村岡素一郎の生涯)
著者等紹介
榛葉英治[シンバエイジ]
大正元年(1912)、静岡県に生まれる。昭和11年(1936)早稲田大学英文科卒業。昭和33年(1958)『赤い雪』で第39回直木賞受賞。平成11年(1999)2月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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『影武者徳川家康』の元ネタとして有名な村岡素一郎著『史疑徳川家康事蹟』の現代語訳&解説本であります。徳川家康は人生の途中で別人に入れ替わっていた…とする怪説・家康別人説の出どころとなった同書ですが、家康の前半生への問題提起はいいとして、その後に展開される入れ替わり説の詳細は考証とも空想とも判然とせず、村岡氏流の歴史観「貴賤交代論」と「駿河に英雄がいないのはおかしい」というお国自慢的発想の産物といわざるを得ません。それにしても同書以上に突飛な説が当たり前に氾濫する現代は恵まれた時代なのだとつくづく。星3つ。2014/02/03