出版社内容情報
民間に伝わる治療法等を分類・整理して,その実態を詳しく紹介し,「医療民俗学」として新たに論を展開。 目次 医療民俗学の方法(定義,特質,日本人の病理観)医療の歴史 治療医学的民俗医療 予防医学的民俗医療 妊娠・出産の医療民俗学的考察【ほか】
内容説明
日本民俗学における医療の問題は、これまでいわゆる俗信・迷信と同列に扱われ、専門的研究は極めて少なかった。本書は、従来の心意伝承ではなく、技術伝承の点から民俗医療をとらえなおし、新たな視点を提示しようとするものである。
目次
医療民俗学の方法(医療民俗学の定義;民俗医療の特質;日本の常民と未開人の相違点;日本人の病理観)
医療の歴史(原始間代の医療;古代の医療;中世の医療;近世の医療;現代の医療)
治療医学的民俗医療(薬物その他による科学的な療法;呪術による療法;精神病とその治療)
予防医学的民俗医療(内科的疾患の予防;外科的疾患の予防;医療としての年中行事)
妊娠・出産の医療民俗学的考察(妊娠の徴候;マタニティ・ベルトの効用;妊婦が守るべきタブー;難産を避けるために;分娩の場所と方法;分娩にともなう諸問題)
家畜医療の方法(馬の病気とその治療;馬の保健と安全祈願;年中行事と馬;牛の病気とその治療;その他の家畜の病気と治療法)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
1
80年代の本だが、今尚類著がほとんどないらしい医療民俗学についての概説。医療民俗学とは、正規の医療者が行う医療とは別に、普通の庶民が古来より行ってきた民間レベルの様々な医療、いわゆる民間療法の歴史を研究する学問だという。近代以前、医療制度が事実上、一部の支配層や富裕層のものだった頃、それにアクセス出来ない庶民達が頼った、先史時代以来の呪術的な医療が昭和30年代ぐらいまでは、日本社会で日常的に定着していた。全国各地の色々な病気への対処術が紹介されているが、現代医学的にも根拠のあるものから正に呪術まで渾然一体2024/11/13