内容説明
天才ピアニストの内面が今、明かされる。愛する家族との日々、ソ連での楽しくて困難な音楽活動、作曲やピアノに対する考え、唯一の指導者アンナ・カントールの指導法、カラヤンや一流指揮者との交流、イギリス国籍、そしてイスラエル国籍取得の経緯、自らのルーツであるユダヤへの敬意などを、自らの言葉で語る。
目次
第1章 少年時代
第2章 青年時代
第3章 想いはめぐり
著者等紹介
キーシン,エフゲニー[キーシン,エフゲニー] [Kissin,Evgeny]
1971年モスクワ生まれのピアニスト。2歳でピアノを弾き始め、6歳のときにグネーシン音楽学校に入学し、10歳でデビューを果たした。1986年には初の日本ツアーも開催。2002年に英国国籍、2013年にはイスラエル国籍を取得。アバド、アシュケナージ、バレンボイム、ドホナーニ、カラヤン、小澤征爾といった偉大な指揮者や世界の著名なオーケストラと共演を重ねてきた。過去においても現代においてももっとも才能のあるクラシックピアニストのひとり
森村里美[モリムラサトミ]
長野県に生まれ、茨城県で育つ。東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨハネス
9
ジャケットも着せてもらえず(?)ワイシャツでキーシンもレーピンもステージに出てた頃からキーシンは顔立ちでも日本で大人気だったが「長生きするか心配」と当時どこかで読んだ。実際虚弱だったのか。あんなにちやほやされ続けたのにこんなに知的な大人になって、あたしはまるで親戚のおばちゃんのように感心したわー。ユダヤの詩の朗読CD購入者は日本が一番多いとか日本公演でラジカセを買ったとか下世話な話につい惹かれてしまう。ユダヤ人とも知らなくてごめん。2022/09/09
スリカータ
8
神童、天才と呼ばれ、私の最も好きな演奏家の一人であるキーシン。祖父母、父母、10歳年上の姉、カントール女史、そして関わった人々に関して綴り、感謝を述べている。キーシンは文学に造詣が深く、様々な語学を学び、詩作、小説を書き、作曲もしているとは知らなかった。演奏においての天才であるのは勿論、多方面において頗る優秀であり、かつ謙虚である。40代半ばの現在、円熟味を増し巨匠の風格も備わったキーシンの今後益々の活躍が楽しみである。自作の演奏も聴いてみたい。2017/06/07
かりんとう
6
キーシンのことを詳しくは知らないまま読んだので大変興味深かったです。文学に精通していて朗読が好きなことも初めてしました。映像では知性的な瞳と少しはにかんだ笑顔や温かな雰囲気が印象的でしたが、そのままの内面性を感じました。幼少の頃からの珠玉の思い出が彼の中には詰まっていて、アンナ・カントール先生をはじめ共演した指揮者への敬意や歴代のピアニストに対する尊敬が感じられました。自身のアイデンティティの複雑さを乗り越え、ユダヤ人としての誇りをもってこれからもピアニストとして様々な国で活躍されることでしょう。2021/03/11
trazom
6
キーシンというと、師匠のアンナ・カントールとの絆の強さが有名だが、「カントールはピアノの鍵盤で教えられることをすべて教えてくれただけでなく、人間的成長についてもつねに心を配ってくれた」と言える弟子も、言われる師匠も、どちらも素敵である。また、いろんな音楽家に対するキーシンの思いが赤裸々に書かれていて面白い。ジュリーニに対する尊敬、ホロヴィッツに対する疑問、ギレリスとリヒテルの比較など。ただ、批判をしつつも、どこが自分の考え方と違うかを記して反論し、尊敬は失わない。それがキーシンの人間性の立派さだと思える。2017/08/03
少年隊世代
5
ロシアの音楽家の登竜門であるチャイコフスキーコンクールなどを経ていない、彗星のごとく現れた天才ピアニスト、キーシン。この本には、家族を始め、キーシンがこれまでに出会った彼を支えた人たちについて書かれていた。そして、ユダヤ人という自らの民族意識。キーシンは多くのイディッシュ語の詩を堪能することも大好きだそう。この本のおかげで、多くのユダヤ人詩人の名を知ることができた。2017/08/20