内容説明
海には人智を超えた「何か」が居る。海釣り師たちが、実際に遭遇・体験した奇妙な現代民話集。
目次
第1章 そこにいたなにか(添えられた手;銀色の光とスパイクの音 ほか)
第2章 水のなかから(スクリューに絡んだもの;海から来る女 ほか)
第3章 人智を超えたもの(二度生かされた男;絶壁の明かり ほか)
第4章 特別な場(千人塚;間引きの島 ほか)
著者等紹介
高木道郎[タカギミチロウ]
1953年青森市生まれ。釣り具とカメラを手に北海道から沖縄、海を渡って韓国やパラオなどへも出かけるフリーランスライター。得意なジャンルはクロダイやメジナを狙うウキフカセ釣り。多くの釣り雑誌の編集も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
96
全国の釣り場を巡り写真や釣行記を仕事としている著者が体験したり、地元の人に聞いたりした海の怪話をまとめた本。 海は広い。人間がわかっていることなど微々たるものだと思っている。これは山にも言えることだが。よく聞く話がほとんどだったのであんまり期待したほどでもなかった。私は書かれているような怪異現象よりも、足場が悪い場所特にテトラポッㇳが怖い。若い時足を滑らせて危うく海に落ちそうになったり、素潜り中にクラゲに刺され激痛で溺れそうになったこと。図書館本2024/11/07
HANA
59
実話怪談集。古来海は山と共に異界に親しい存在であり、板子一枚下は地獄という言葉があるように死とも近い存在と考えられていた。本書は海釣りを専門とする著者が自身体験した事や釣り人漁師から聞いた話をまとめた一冊。一話一話は怖いというより奇妙な気配を感じるようなかそけさという語がぴったりな話が多いのだが、それでもそういう話が続いていくと、夜の真っ暗な海で寄せては返す波の音を聞いているような不安な感覚に襲われる。それでもそれは怖いというよりどこか懐かしいような。磯の香りが漂ってくるような一冊、面白かったです。2024/04/19
HaruNuevo
17
『山怪』シリーズ(文庫)、『山の霊異記』シリーズを一通り読んだので、次は海だな、と思い拝読。 かなり『山怪』シリーズは意識して執筆されているように感じた。 山は山そのものが異形の棲まう異界であり、山そのものに霊性が宿るという古来の信仰もあるが、海は竜宮城やニライカナイのように異界へと続く、いや異界とこちらを隔てるものであるというところで、そこで語られる怪異譚も少し性格を異にしているように感じた。 ぜひこちらもシリーズ化して欲しい。2023/09/03
LUNE MER
16
釣り人の体験談を集めた「山怪」の海バージョン。自分は釣りをしないのでかなり他人事の感覚で読んだために「山怪」シリーズほどには背筋に寒気を感じなかった。海釣りによく行く人が読んだら結構怖いんじゃないかと。2024/10/11
アカツキ
14
著者が自身の体験、猟師や船長、サーファーなどから聞いた海にまつわる話をまとめた怪奇譚と、日本海中部地震の津波被害についての話。現実的な見解も書かれているが、それでも首をかしげるような、ゾッとするような後味を残す話がいくつもある。津波被害はたまたま遠足に来ていた子供たちが被害に遭ったものの地元の人たちの救助によって多くの子が救われる。それでも救いきれず流されていった子供への心残りを語る女性の言葉に胸が締めつけられた。2023/11/12
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