内容説明
魔女とは何者なのか?魔女の歴史をたどってドイツを歩く。魔女裁判、ドイツ最後の魔女、魔女の十字架、ブロッケン山、ヴァルプルギスの夜、etc.
目次
第1章 迫害された魔女たちの歴史をたどる(裁判で魔女にされた人々の運命;魔女狩りの激しかった町 ほか)
第2章 魔女への慰霊の旅(魔女偏見の克服をめざして;魔女の塔と牢獄と慰霊碑 ほか)
ちょっと寄り道
第3章 魔女の故郷ハルツ山地散策(魔女の故郷はどこ?;ハルツの要ヴェアニゲローデは魔女の町 ほか)
第4章 ヴァルプルギスの夜を旅する(ヴァルプルギスの夜の伝説;「ヴァルプルギスの夜」の開催地を訪ねる ほか)
第5章 魔女ってどんな人?(魔女に薬草は付きもの?;いまも魔女はいるの?)
著者等紹介
西村佑子[ニシムラユウコ]
早稲田大学大学院修士課程修了。青山学院大学や成蹊大学、東海大学のドイツ語講師を経て、現在はNHK文化センター柏・千葉教室講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
73
ドイツでは、中世から、近代になってからでさえ、魔女狩りが行われ、多くの人々が魔女だとして拷問され、処刑された。そのほとんどが異教徒、不信心者だったが、アウトロー、少数民族、偏屈者といった集団に属さない者たちだけでなく、司教、金持ち、学者といった人々まで魔女として処刑された。かつて『ヘンデルとグレーテル』の魔女の最後に違和感を感じたという作者が、そういった魔女狩りの地を訪ねて魔女裁判や処刑の痕跡を探し、なぜそのような不当なことが行われたのかを調べている。そこには、魔女に対する慰霊の思いがあふれている。2021/08/07
チョコ
70
「魔女」のイメージは、私の中では、魔女の宅急便、おジャ魔女どれみ、ハリーポッター、と、かなり楽しく良いものだけれど、この魔女は魔女狩りに代表する迫害の歴史。宗教もイマイチ浸透していない私の中では、キリスト教の中でもカトリックとプロテスタント、異端審問などは、頭での理解に過ぎない。ドイツのあらゆる街で魔女狩りが行われていたのは本当に辛い歴史。 中世だしなぁ、と思っていたら、2005年から2011年に東アフリカで約3000人が殺害されたという。今21世紀ですよね。とそっちの方がビックリしてしまった。2021/08/24
しゅてふぁん
50
ドイツ魔女街道の旅。ドイツ〇〇街道と聞くとわくわくするけど、この魔女街道は負の歴史を辿るもので、わくわく♪というわけにはいかない。魔女迫害が行われたのは16世紀から17世紀にかけてのことで、過酷な拷問の末に生きたまま火あぶりとか…町によっては何千人も処刑されたとか。2000年以降になって名誉回復(身の潔白が証明されたということ)された方もいて‘昔の話’ではないことにもびっくりした。毎年4月30日の夜に開催される魔女たちと悪魔の饗宴(!)、春迎えの行事「ヴァルプルギスの夜」はとっても楽しそう。2021/06/27
びわこっこ
35
魔女におとぎ話のイメージを抱いて読むと、魔女迫害の歴史話から始まって、痛い思いをする。😓 だが、ほとんどが歴史的背景の説明で、中心はドイツの魔女を巡る旅の案内💁 植物療法をドイツの薬剤師であり、自然療法士から学んだので、ハルツ山地の土産物屋で売っている、魔女グッズの中で、ヘクセ(魔女)が鍋をかきまわす置物が懐かしい。魔女は異界と現実の境を行き来する不思議な力を持つのです。ハリーポッターのシリーズが読みたくなります。東京ディズニーランドへ行ったら、魔女体験できるかなぁ?🦹2023/01/30
ふじ
26
フィクションの魔女の印象が強かった自分に、現実世界の魔女の印象を強く残した本。ドイツに残る魔女の痕跡を辿る旅は、私にとって、理不尽な告発&拷問&処刑の魔女裁判の歴史を知る旅となりました。カトリックめ…!という言葉が何度頭をかすめたことか。時代的には日本で武士が切腹していた頃。同じ死とはいえ、その扱いは大きく違う。「魔女」という言葉自体がそもそも中世に生まれた異教迫害のための「悪者」を示すもので、現代は創作の力もあり随分印象が変わったよう。魔女が好き、と気軽に言えるのも日本だからか…2021/07/30