内容説明
山のクジラ―山鯨(やまくじら、さんげい)。イノシシを差す符丁。
目次
単独忍び猟記(初猟でスコープのなかのシカのことは忘れないと思う;初めての発砲は杉林のオスジカに;狩猟を始めた理由と単独猟への意地;逃げるシカを追ってみる ほか)
単独忍び猟具考(自分に合った装備がある;ウエア類;足回り/食料&行動食;帽子 ほか)
わたしの単独猟の始め方(猟場の下見;猟銃に慣れ、射撃の腕を磨く)
単独忍び猟の基礎知識
著者等紹介
武重謙[タケシゲケン]
1982年、千葉県出身。自営業。システムエンジニアを8年務めたあと退職。海外を2年間放浪後に神奈川県箱根町に宿泊施設を開業し、その傍らで狩猟を始める。2019年に北海道稚内市へ移住し、宿泊施設「稚内ゲストハウス モシリパ」をリニューアル開業。小説の執筆も行い、池内祥三文学奨励賞(2012年)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Sakie
19
銃による狩猟を、しかも単独忍び足で。こんなに魅力的な響きがあるだろうか。『身体が勝手に小枝を避けて歩く』など格好良すぎる。静かな山の中で耳を澄まして、痕跡を探り、獣と対峙し、決着の一瞬を賭ける。30年前に比べ、今では山にいる獣の数が格段に増えているために、昔ではありえなかった単独猟が可能になっているという話には、なるほどと唸った。それにしても、仕留めた獣を水で冷やし、その場で解体し、汚染しないよう肉を包み、担ぎ、道なき斜面を車まで戻る工程を全て独りでこなさなければならない。これは私には無理だな、と悟れた。2020/11/03
Nao Funasoko
19
単独忍び猟という響きだけでゾクゾクする。(^^) 憧れる世界ではあるがフィールドの近くに移住しない限りは現実的には難しいかな。禁猟期の山の歩き方やフィールド観察などは鳥見に通じるとこもあり興味深かった。2020/04/08
しずかな午後
10
狩猟と言えば、大人数で行う「巻狩り」が中心だが、本書は一人で行う「単独忍び猟」について書かれている。大人数と違って一人だと獲物を追い詰めることが難しい。必然的に「待ち伏せ」のスタイルで猟を行うことになる。だからこそ、山とそこに住む動物たち、そして自分自身への深い知識が必要になる。本書の魅力は、じっくりと山を観察し、わずかなチャンスを逃さず、静かに獲物を仕留める、筆者のプロフェッショナルとしてのカッコよさにある。2022/02/22
賢一
9
稚内のゲストハウスで直接お話してみたい。 私もこれから自分が読みたい狩猟文学のため行動を起こすのだ。2023/09/17
tetsubun1000mg
7
「単独忍び猟記」という副題に惹かれて選ぶ。 山のクジラは昔でいうイノシシだと分かったので、一人で猟をするマタギのような人の話しだと想像していた。 単独猟は罠の仕掛けをする方が多いのでそこから始まるかと思いきや、いきなり銃の選定と狩猟免許から。 狩猟会の先輩たちの一人は無理という助言も聞かず単独猟をスタートする。 この人は思い込みが強く探求心もあり、孤独にも耐える性格を持っておられるようなので一年目から成果が得られたと思われる。 自分で単独猟を始めたい方には参考になると思います。文章もうまいので読みやすい。2020/02/06