内容説明
「?」の感性をもって山を見つめると新たな現象が見えてくる。数歩踏み込んだ眼と心で見つめる知的登山が面白い。山の植生分布の謎を解く。
目次
第1章 「なぜ?」から始まる知的登山
第2章 「自然」を本当に観察していますか?
第3章 富士山―カラマツが語る噴火の歴史
第4章 八ヶ岳―コマクサはスコリアがお好き?
第5章 早池峰山―謎だらけの植生分布
第6章 飯豊山1―強風と多雪がもたらした偽高山帯の植生景観
第7章 飯豊山2―風食がもたらす豊かな植物相
第8章 朝日連峰―豊かな植生の創造主は強風だった?
第9章 縞枯れはなぜ起こる
第10章 くじゅう火山群のミヤマキリシマ群落はなぜみごとなのか
第11章 多様性と不思議に満ちた日本の山
著者等紹介
小泉武栄[コイズミタケエイ]
1948(昭和23)年、長野県飯山市生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得。理学博士。東京学芸大学教授を経て、名誉教授。専門は自然地理学、地生態学。高山や極地の植生分布と地形、地質、自然史との関わりを主に研究してきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
水ポテンシャル
12
図書館本〜 多々ある登山スタイルの中の一つ、知的登山!について書かれた本。何故ここにこの植物が分布しているのか、地形地質風向きや方角、歴史的地理を混ぜて考察しながら登山を楽しむ!まさに、探していた分野!本を読みながら一緒に考察も出来るが、少し事前知識がいるようでガイドかな?。ただこういう視点の分野があることを知れたことが何より嬉しかったです笑同じ著者の本をほかも読んでみよう2020/08/09
Humbaba
7
もう調べ尽くされていると思われるようなことでも、実際には分かっていないことがたくさんある。それを見つけられるかどうかは物事に対する視点こそが影響してくる。特に知識のない人の何気ない視点こそが、これまで着目されてこなかった問題を見つける鍵となる事もある。2017/03/09
青雲空
6
知的登山のススメ。早く登る、たくさん登るだけではもったいない。知識を持ちなぜを繰り返し発見があれば、山はもっと楽しくなるという指南書。百名山病治療の本でした。2022/12/12
takao
2
ただ登るのではなく、こういう山登りが理想だ。2017/03/16
ビリー
0
まさに求めていたコンセプトに非常に近い。ただあくまで『登山が趣味』の人向けなので、僕みたいな『植物が趣味でたまに登山』の人には過不足があるのが実に惜しい。文章とわずかな写真では実地の経験が乏しいと想像がしにくい。また、ミクロな視点での生態系は考慮されてない。例えば高山植物に多いキク科やタデ科の植物は風に乗る種子を作る一方、本書でもページを割いているコマクサは蟻によって種が散布されるらしい。こういった生態は植物の分布を考える上で無視できないはず。岩石の種類によるpHの違いとかも絡めて掘り下げるのもいいかも。2017/07/19