出版社内容情報
シャルウィ断酒?
酒がなくては書くことができなかった作家はいかにして断酒を決行したのか!?
作家が自らに施した「断酒」という大改造を経て訪れた、劇的なビフォー・アフター!
第1章はずぶずぶと酒浸りになっていった阿佐ヶ谷時代、そこで出会った愛すべき人たちとのエピソード。
第2章では山梨に移住し、そこでも酒浸りになっていった日々を描き、都会ではなく、なぜ田舎で酒におぼれていくのか、移住者ならではの視点で自らを省みる。
第3章では断酒を思い立ったきっかけと、そこからの長い孤独について。第4章では断酒の効能を軽やかな筆致で描く。
フライの雑誌-第123号(2021年10月発行)に寄稿し、読者から大きな反響を呼んだ「酒を断つ」をもとに加筆し書籍化!
目次
1 都会で呑む
2 山で呑む
3 酒を断つ!
4 前向きに生きる!
著者等紹介
樋口明雄[ヒグチアキオ]
1960年山口県生まれ。明治学院大学法学部卒業。雑誌記者、フリーライターなどを経たのち、ライトノベル作家としてデビュー。2008年に上梓した『約束の地』で第27回日本冒険小説大賞と第12回大藪春彦賞をダブル受賞。2013年『ミッドナイト・ラン!』で第2回エキナカ書店大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
63
【「酒呑みも断酒する奴も、自分の理由を肯定するために必死になるものさ」(ある酔っ払いの言葉)】“酒のない人生なんてつまらない”と、来世の分まで酒を呑み尽くした作家が、人生に迷っていた時代や酒浸りの日々を想いながら、「断酒」決断の経緯を――。<酒呑みは天国、断酒は地獄だと思っていたが、実際は逆だった。呑んでストレスを発散するつもりが、実は飲酒こそがストレスの原因だった。その証拠に、酒を呑んで人生を持ち崩した人間は星の数ほどいるが、酒をやめて、それが原因で不幸に落ちてしまったという話は聞いたことがない>と。⇒2025/05/22
nonpono
51
明日は内科。肝臓の数値や血糖値はいかに。医師から酒を止められたのではなく依存症でもなく自らの為に断酒した作家のエッセイ。説教臭くなく飲酒時代の自分と断酒してからの自分の生活を心の中を率直に描いている。確かに昭和の時代とは違い、お酒は飲まない世代の増加、酒の上での失敗への甘さや寛容さはもうない。時代は移ろう。「呑んでストレスを発散するつもりが、実は飲酒こそがストレスの原因だった。」に目が止まる。飲まないからこそのすかすがしい寝起き、熟睡、健康的な体の数値、節約。羨ましいが、晩酌しつつ読むわたし 笑。嗚呼。2025/03/12
小太郎
34
『武装酒場』を読んでこの本も読みたくなりました。浴びるように酒を飲んでいた無頼派作家?が何故酒を止めることができたのか?とても興味がありました。同じくらいの年齢なので阿佐ヶ谷での酒場話はとても共感出来ます(笑)また大好きな漫画家永島慎二さんが出てくるので驚きました。酒飲み仲間だったんですね。自分でもお酒止めようかな思うことはあります。ただ一番違うのは作者は本当はお酒あんまり好きじゃなかったのかもしれないなと感じるところです。私は楽しく付き合えそうだけど(ヤバイかも 笑)★32025/06/08
いちろく
22
山と渓谷社から禁酒エッセイ? と思い手にした一冊。著者が若い頃、主に阿佐ヶ谷で飲んでいた頃の思い出話からはじまり、山梨に移住してからの飲酒に、健康診断の数値をキッカケに禁酒に及んだ出来事など、興味深くページを捲れた。今ではありえないけれど、酒に対しておおらかな時代もあったのだな……と改めて驚くとともに、あれだけ飲んでいたのに禁酒に成功している著者の意志のかたさにも驚く。この手の本を読むと、日常的な飲酒の習慣がない私はホッとする部分が正直あるのですよ。2025/02/03
くさてる
17
著者の作品は未読。断酒エッセイに興味があって手に取りました。軽妙な語り口ながら、書かれている依存の現実はシビアで重苦しい。そこからの底つきは劇的なものではない分リアルで、ああこうやって人は自分の現実と向き合うのだなと感じました。単なる体験談ではなく、データや文献を引用してのアルコール依存の解説部分もありましたが、自然に組み込まれているので読みやすかったです。2025/02/12