内容説明
北アルプスの黒部川の岸辺、薬師沢小屋のリアルを語る。
目次
第1章 黒部源流のこと(黒部源流と薬師沢小屋;山小屋創成期)
第2章 薬師沢小屋開け(入山;水事情 ほか)
第3章 ハイシーズン到来(ハイシーズンと厨房事情;物輸ヘリ二回目 ほか)
第4章 秋の源流と小屋閉め(イワナの遡上;上ノ廊下と赤木沢 ほか)
著者等紹介
やまとけいこ[ヤマトケイコ]
大和景子。山と旅のイラストレーター。1974年、愛知県大府市生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。大学時代はワンダーフォーゲル部に所属。卒業後は鈴蘭山の会に所属し、イラストレーターと美術造形の仕事をしながら、29歳で山小屋アルバイトを始め、薬師沢小屋暮らしが始まる。39歳で東京YCCに所属し、クライミングを始め、現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ぶち
118
黒部や雲の平という憧れの山域にある山小屋が舞台とあっては読まずにはいられません。黒部川の川岸に立地する薬師沢小屋で12年も働いている女性のイラストレーターが、運営サイドからの視点で山小屋の出来事や暮らしを優しい文章で紹介してくれています。山小屋を切り盛りしていくのは、すごくたいへんで苦労も多いと思いますが、著者の人柄が現われるのでしょうか、楽しく読める文章です。地図や小屋の見取り図、獣の被害の説明図など楽しいイラストもいっぱい。登山道整備や遭難対処など宿泊以外でも山小屋の有難さに頭が下がる思いです。2020/01/29
seacalf
88
作者曰く「山小屋での暮らしは旅に出るのではなく、旅がこちらにやって来てくるような感じ」なのだとか。なかなか窺い知ることが出来ない働く側としての山小屋暮らしを他では聞けぬ愉快で豊富なエピソードと馴染みやすいイラストと共に丹念に描く。一度でも山小屋を利用したことがあれば、面白味も倍増だろう。山に魅せられた人だったらもっと楽しめたのになあ。かくいう自分は登山家だった父に幼少期に連れられた以来ご無沙汰。おそらく薬師沢小屋にも行っているはずの山好きの友人に久々に会って色々話を聞いてみたくなった。2022/05/19
鱒子
80
kindle prime 平坦な道ならどこまでも歩ける自信、わたしには有ります。でも坂道と階段は大っ嫌い。もちろん登山なんて考えるだけでも鬱。本書の舞台は登山者の集う北アルプスの薬師沢小屋。わたしには全くご縁のない山小屋従業員さんのエッセイなので、新鮮な驚きがいっぱい。楽しませていただきました。なにより、著者 やまとけいこさん、出版社 山と渓谷社。名前が出来過ぎです(笑2020/05/02
ぶんこ
79
表紙絵からは、のどかで気持ちの良い山小屋暮らしに思えるのですが、いやいやハードといっていい毎日でした。尾瀬で1泊したのが唯一の山小屋体験ですが、一シーズン泊まりこんで働くのは、よほどの山好き、自然好き、そして動物好きでないと無理そうですね。特に動物は怖くて飛ばし読みしました。他には湿気との闘いもハード。布団だけではなく生野菜の保存の大変さにも驚きました。ただ泊まっただけではわからない大変さがわかっただけでも読んでよかったです。2020/12/21
ジンベエ親分
74
お友達が書いた本で、私も数枚の写真といくつかのネタを提供しているので著者から謹呈本が届いた。や、自分でも買うつもりなのだけど(^-^*) 目指せ重版🎵 さて、内容は舞台となる黒部川源流域の歴史から始まり、小屋開けから秋の小屋閉めまでの生活を丁寧に綴ってゆく。とても魅力的な絵がもっとあっても良かったのに、とも思うけどね(^-^*) 電気も電話もない(むろん携帯は圏外)山小屋で3ヵ月暮らす空気感が懐かしい。さて、実は2年くらい薬師沢小屋に行ってないんだよね。最近はバイクばかりだからなぁ…。今年はどうしよ。2019/03/18