内容説明
母、藤原ていのベストセラー『流れる星は生きている』に衝撃を受けた一人娘が綴る母との葛藤と溢れるばかりの母への想い。
目次
第1章 北極星と歌舞伎町
第2章 死んだウサギ
第3章 おみつの春
第4章 小さな勇者たち
第5章 父と毛糸のくつ下
第6章 母のベストセラー
第7章 母への恋文
著者等紹介
藤原咲子[フジワラサキコ]
1945年、父・新田次郎(本名・藤原寛人)と、母・藤原ていの長女として、満州国新京市(中国長春市)に生まれる。立教大学文学部を卒業後、東京教育大学で比較文学を、北京師範大学で中国語を学び、現在、中国語教師。数学者・エッセイストの藤原正彦は次兄
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
79
「流れる星は生きている」の中で生後まもない赤ん坊だった咲子が、50歳を過ぎ母に宛てた文章。咲子が12歳の時、ベストセラーになった母の著作を読んで、私を捨てようとしたと邪推し、死のうとした。父に何度も尋ね安心を得ても、母には一切甘えることはなかった。常に母とは言い争っていた。母はそんな時「誰のおかげで生かしてもらったと思ってるの」といつも言った。そんな母も86才になり、認知症になった。昨年たまたま50年前の初版本が咲子へと書かれた母の手紙と共に見つかった。50年振りに読んだ本の上に涙が止まらなかった。→2020/08/21
りんご
35
「『流れる星は生きている』の咲ちゃん」って言う肩書きは重たい。新田次郎と藤原ていの子供ってのも重たい。そして12歳っていう多感なお年頃に「流れる〜」を読んでしまった衝撃。生き延びるのに困難な道のりになってしまったんだろうなあ。長い年月をかけ、ようやく作品と記憶と現実のすり合わせというか、落とし所を自分のものにしつつある。この流れが、それこそ物語みに溢れてて実にドラマチックだった。ていさんは老人になり、咲ちゃんがお世話をする。時の流れがなんだかおそろしい。沁みました。2022/10/06
双海(ふたみ)
20
「もし今、戦争になって何かひとつだけ大切なものを持って逃げるとしたら、それは何?」「母をおんぶして逃げる……」2019/05/03
ろこぽん
14
「流れる星は生きている」の赤ちゃんが自分ではないかと信じたくない小学生の咲子さんの不安は計り知れない。父、新田次郎も、容易く「赤ちゃんは咲子ではないよ」と言わなかったことが、ていさんへ配慮と優しさであり、咲子さんも父から愛され思われている自分を知ることで、救われたのだろう。「流れる星は生きている」を読んでみたいと思った。2021/04/02
Mayu
11
流れる星は生きている、の藤原ていさんのお嬢様の著作ということで、読んでみました。流れる星は生きている、を読んで母の強さと愛情に感動した私としては、なぜ咲子さんがそこまで悲観的に受けとめてしまったのかと、もどかしく思う気持ちが強かったのですが、才能ある家族に囲まれて、自分の良いところを中々見つけられずに、劣等感に苦しむ気持ちはよく分かり、結果的には引き込まれて一息に読みました。お母様譲りの筆力かな、と思います。咲子さんの回想の中の父、新田次郎さんはとても素敵な人で、作品を読んでみたくなりました。2015/04/05