内容説明
ベストセラー『山怪』第二弾、顕現!!山岳、怪談、民俗学…and more。領域を超えて拡散する「語り」の魔術。現在形のフィールドワーク!
目次
1 胸騒ぎの山(八甲田山;真夜中の行軍;怖いモノは無視せよ! ほか)
2 彷徨える魂(切りたくない木;峠に集う者;続・楽しい夜店 ほか)
3 森の咆哮(軽トラの待ち伏せ;行ってはいけない;消えた友人 ほか)
著者等紹介
田中康弘[タナカヤスヒロ]
1959年、長崎県佐世保市生まれ。礼文島から西表島までの日本全国を放浪取材するフリーランスカメラマン。農林水産業の現場、特にマタギ等の狩猟に関する取材多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
141
キツネやタヌキに化かされることが、本当にありそうな気にさせられる。それがこの本の魅力。同じ所をぐるぐる回って迷う現象も、本当に体験した言葉を聞くと、どんなふうに発生するのかがわかる。一種の幻覚であるというのが私の印象だけど、本当に怪奇なのは人間の心・無意識なのかもしれない。怪光の正体も、リンではないだろう。では何だと言われると答えられない。2018/07/06
ハイランド
107
人の棲まわぬ山の中は、人のものではない理が支配する世界なのだろう。前作に引き続き山人に聞いた怪異のお話。今回は火葬の話が生々しくて印象深い。山で怪異に出会った人は、山の霊気に触れこの世でない世界にたまたまチューニングが合ってしまったのか、禅でいう処の魔境に陥ったのか。そもそも人の論理で理解しようとするのが間違いなのかも。ごろりとした怪異の描き方がたまらん。都会や人里から駆逐された闇が、山には残っている。山の空気が大好きで、今も山との境に住んでいるが、たまに狸に出くわすぐらいで不思議には未だ出会えていない。2017/05/24
ままこ
102
シリーズ二作目。怪異はもちろん怖いけど、埋葬に関する風習がゾゾッと印象深い。。掘り出すと生ぽい骨になってる土葬も不気味だけど火葬エピソードが強烈。火葬中に首がポロリや露天焼きでは遺体が“ぐわああっ“て立ち上がる。そのホラーな現象を想像してヒィッ‼︎恐ろし過ぎる。これが当時集落では別段変わった出来事ではなかったらしい…。〈続・楽しい夜店〉これは子供ならではの摩訶不思議。感じやすい人は危険を察知し回避してくれるので、一緒にいる人は見ぬ物清、知らぬが仏がいいのかもしれないな。2020/08/29
ねりわさび
92
山岳怪談集2巻目。怖がらせるための物語に拘泥せず淡々と山で起きた奇怪な出来事を収録。各集落の因習などを記録したフィールドワーク集というべきか。しみじみと読めて面白かったですね。2024/09/29
kinkin
89
山で出会ったり、体験した不思議な話を集めた本。山というところは古来から人間が生活の支えになるものを調達する場所であることと、神霊的な場所でもあったところだと思う。そして本に出てくる不思議な話、キツネや狸に騙される、座敷わらし、子供の神隠し、火の玉、どこからとも聞こえてくる声など、こういう話が一箇所でなく全国で起きること。先人は山の奇怪さを今よりずっと肌で感じていたのだな。山を開発と称して破壊する。古民家を壊す、ダムで村を水没する。こんな行為に山の神は嘆いているのだろう。図書館本2024/10/09