内容説明
山で働き暮らす人々が実際に遭遇した奇妙な体験。現代版遠野物語。
目次
1 阿仁マタギの山(狐火があふれる地;なぜか全裸で;楽しい夜店;生臭いものが好き;狐の復讐;見える人と見えない人;狸は音だけで満足する;消えた青い池;人魂、狐火、勝新太郎;親友の気配;辿り着かない道;蛇と山の不思議な関係;汚れた御札;マタギの臨死体験;叫ぶ者;白銀の怪物)
2 異界への扉(狐と神隠し;不死身の白鹿;来たのは誰だ;もう一人いる;道の向こうに;響き渡る絶叫;僕はここにいる;謎の山盛りご飯;山塊に蠢くもの;鶴岡市朝日地区;出羽三山;鷹匠の体験;奈良県山中・吉野町;ツチノコは跳び跳ねる;足の無い人;巨大すぎる狐火;山から出られない;行者の忠告)
3 タマシイとの邂逅(帰らない人;死者の微笑み;迎えに来る者;ナビの策略;椎葉村にて;テントの周りには;幻の白い山;なぜか左右が逆になる;不気味な訪問者;天川村の事件;帰ってくる人;固まる爺婆;お寺とタマシイ;飛ぶ女;帰ってくる大蛇;呼ぶ人、来る人;狐憑き;真夜中の石臼;狐火になった男)
著者等紹介
田中康弘[タナカヤスヒロ]
1959年、長崎県佐世保市生まれ。礼文島から西表島までの日本全国を放浪取材するフリーランスカメラマン。農林水産業の現場、特にマタギ等の狩猟に関する取材多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
291
現代に不思議な話などありえない、と思ってしまうが、発掘すれば現れるものだ。淡々とした記述が、かえって迫真性を感じる。取材される側が、冷静に分析し解釈しているのに、著者が、むしろ怪異を信じる側に立ったコメントをつけている点がおもしろい。山奥に住んでいても、子どもはゲームに夢中なのが普通な時代だから、何とか不思議を成立させたいという気持ちもよくわかる。2018/06/30
ハイランド
218
人の棲まわぬ奥山では、人の理が通じぬ世界があるのかもしれない。囲炉裏端で祖父が孫達に語る不思議な話は、筆者の言うとおり急速に途切れていくのだろう。それでも今も山の怪異は、そこを訪れる者に一端を垣間見せる。若い頃は良く山に登った。今も山の傍に住む身だか、あまり怪異に出会わない。幼い頃、今は亡き父母に、人魂を見た話、戦で死んだ父の兄弟が兵舎の窓に顔を見せた話など、怪異に出会った話を聞かされた。しかし語り継ぐ者も無いままにそんな話も時間の彼方に埋もれていく。かくして怪異は都市伝説にその席を譲っていくのだろうか。2016/09/22
小梅
195
マタギや山で暮らす人々の経験したり聞いたりした話し。狐や狸に化かされるって本当にあるのかな… 代々話し継がれてきた話し。テレビの無い時代は、おばあちゃんから話しを聞いてたから伝わった話しも、現代ではテレビもゲームも携帯もあるからね。2018/08/28
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
170
山に関連する職業の方を取材する記者である著者が、仕事のうちに仲良くなった郷やむらの方、猟師の方から伺ったふしぎ話をまとめた本書。現代版遠野物語のような(といってもテレビの普及のない何十年も前の話)。 本当に経験された話だから、変にオチをつけたりしてないとこが好み。カーナビの話なんかは特に起こりそうなので怖かった。 地域によって狐だったり狸だったり、蛇だったり河童だったりツチノコだったり。得体のしれないふしぎなものに、人は何かしらの原因を定めないとかえって恐ろしいのかも。2019/01/12
らぱん
136
読み始めてすぐに前に読んだことに気がついたが、さて自分の記憶ではないのかもしれない、そんな気にもなるどこか懐かしい民俗学的怪異譚で、著者が自らの足と耳を使って集めた奇妙な話の数々だ。狐や狸に化かされたり、神隠しや火の玉などの話や幽霊譚もある。昔話というほど古いものばかりではなく、ナビが狂って妙な場所についてしまったというような話もあった。個人的には不思議なことを受け入れており、何もかもが理屈で説明できると考えるほうが無理があり不遜だと思っているので、恐怖を煽るような作りではないこの本に好感を持っている。2019/07/19
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- 和書
- 人口経済学 日経文庫