内容説明
1972年10月、雪深い南米アンデス山脈に45人の乗客を乗せた旅客機が墜落した。奇跡的に32人が死をまぬがれたが、彼らを待ち受けていたのは極寒と飢餓の絶望的な状況であった。捜索が打ち切られ、食糧が底を突いたなか、彼らは死者の肉を口にして生き続けることを決断する。そしてふたりが標高4000メートル級の雪山を越えて脱出に成功、救助隊を遭難現場へと導いた。そのひとり、ナンド・パラードが、35年の時を経て初めて語る真実とは…。
目次
1 事故が起こるまで
2 何もかも貴重品
3 約束
4 もうひと息分だけ生きよう
5 見捨てられてもなお
6 アルミの墓場
7 東へ
8 死の向こう側
9 人を見た…
10 その後
著者等紹介
海津正彦[カイツマサヒコ]
1945年、八王子市生まれ。早稲田大学政経学部卒業。翻訳家。学生時代から登山に親しみ、ヒマラヤ初登頂の経験もある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みゆき
24
旅行を兼ねたラグビーの親善試合のためチリへ向かった飛行機が、アンデス山中に墜落。救助が打ち切られた極寒の中、72日間も耐えた生還者がいた。彼らはただ手をこまねいて救助を待っていたのではない。それがこの実話の物凄さ。強靭な体力と精神力を支えたものは、死生観や宗教観か?死を選んだ方がずっと楽なのに、何故生きて帰らなけばいけないのか?第10章「その後」と「エピローグ」にその答えがあった。全ては愛のために。山越えの凄まじさは、読んでるだけで呼吸が止まりそうだった。2024/03/22
gtn
17
それを食するのも、食さず死を選ぶのも破戒。生存者はそれに口を付けることを選択する。そこから宗教心というベールを取り除けば、本能が残る。2019/03/17
bouhito
6
サッカークラブの飛行機事故が記憶に新しいが、これは1972年に起きたウルグアイのラグビーチームを乗せた飛行機の墜落事故だ。彼らには冬山への供えがないどころか、故郷のウルグアイには高い山がなく、登山というのもまるで初体験だった。45人中29人が亡くなった。16名が生き残ったとも言える。それも、72日間かけて…である。彼らは、亡くなった者の肉を食べることで飢えを凌いだ。それは正しい行為だったのか?究極の状況において、人間は善悪を越えた行為を求められる気がした。2016/12/17
sasha
5
雪に覆われたアンデス山中に墜落した航空機。捜索活動は打ち切られた。ならば、自ら助けを求めに行くしかない。体力は衰え、飢えと渇きに苦しみ、雪山登山の為の装備などない。それでも生きて還る為に、10日をかけてチリの山小屋へ辿り着く。ありえないわ、自分なら絶対に雪に埋もれて死ぬことを選んでるわ。あまりも過酷な極限状態を生き抜いた人たちには、ただただ驚嘆する。2015/02/04
Rinopy
4
ドキュメンタリー「生存者」も見に行きました。P.P.リードの方も読みましたが、コチラは当事者の方が語っているだけに当時の様子や心情が生々しく切迫したものに感じられました。「生きる」ということがどれだけ過酷で、また大切な事かという事を改めて感じさせられた作品でした。2009/06/24
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