内容説明
女性初のアパラチアントレイルスルーハイカーは、67歳のおばあちゃんだった。DV夫、11人の子ども、23人の孫と離れ、テントも寝袋も持たずに歩き通した女性の感動の物語。
目次
しっかり歩け
おうちに帰りな、おばあちゃん
シャクナゲとガラガラヘビ
野犬
どうやってここに入り込んだ?
私たちの喧嘩
女放浪者
注目
働きづめの人生
嵐
シェルター
必ず歩き通す
破壊
多くのことを経て
レインボー湖への帰還
たった一人で
これまでにないほど完璧な孤独
再び
パイオニア・ウーマン
道を拓く
記念碑
エピローグ
著者等紹介
モンゴメリ,ベン[モンゴメリ,ベン] [Montgomery,Ben]
アメリカ・オクラホマ州生まれ。アーカンソー工科大学卒。2010年、新聞記者時代に地元紙の報道でピュリツァー賞ファイナリストとなる。綿密な取材に基づいた人物評伝の著作多数
浜本マヤ[ハマモトマヤ]
東京生まれ、神奈川育ち。元英語教師。幼少の頃より近所の山を歩くのが好きだったことが高じて、ハイキング好きに。2018年にはアメリカのジョン・ミューア・トレイルをスルーハイク(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
54
エマ・ゲイトウッドという女性の偉大な生涯。表紙カバー装画はnakabanさん。既視感のある画風だった。3300㎞のアパラチアン・トレイルを67歳で踏破した女性の人生、雄大で厳しい自然の中に歩みを進めて、孤独を真に満喫した女性の足跡は偉大。読み始めはフィクションかとも思ったが、次第にエマのトレイルに引き込まれて、彼女の素晴らしい生き方に感服した。トレイルに挑戦するまでのすさまじいDV、11人の子育て、農場での労働、家事全般。すごい女性がいたことに驚き、感動した。パイオニア・ウーマン!2023/08/15
つちのこ
41
しまった、これは購入すべき本。何度でも読み返したい、手元に置きたい一冊だ。今更ながらに図書館で借りたことを後悔している。1955年に3300㎞に及ぶアパラチアン・トレイルを5ヶ月間かけて完全トレースした67才のおばあちゃんの話であるが、なんとその後も、計3回踏破したというからとんでもない。わずかな生活用具と食料を入れた手製の袋を肩に担ぐサンタクロースのようなスタイルで、未整備の道をトレッキングする様子は現代では突拍子もないスタイルにも思える。記者の質問に「ただ歩きたいから」と答え、黙々と歩き続ける⇒2022/11/12
yyrn
31
1888年(明治21年)生まれで23人も孫がいるおばあちゃんが67歳になった1955年に、スニーカー履きの普段着姿で当時全米最長のアパラチアトレイルをスルーハイク(一気に踏破する)してしまうという破天荒な話で、その道のりの合間に彼女のつらい前半生が語られていくが、それには3500kmという途方もない距離を、かつ平坦でない道のりを辿る必要があったのかと読後に気づかされる本。日本列島の南北端の距離に匹敵する気の遠くなりそうな距離を半年かけて歩き続ければ、そりゃあ人生観もリセットされるか。▼私の最長踏破距離は⇒2022/08/23
アオイトリ
25
読メのレビューより) 1950年代、67歳の女性が世界最長のアパラチアントレイル踏破に成功した実話。軽装で、しかも3度も!美しく、厳しいトレイルの様子と、当時の世相、彼女の過酷な人生が淡々と書かれます。常軌を逸した夫のDV。貧しい農場での労働。11人の子どもたちへの愛。その強さをただ尊敬します。初期の人類は一日30キロ歩いていたそう。古代ローマ人は歩くことは意志の薬といい、ヒポクラテスは感情の問題の処方箋とした。アリストテレスが歩きながら講義したことは有名。さて、今週末は花見に行こう! 2024/03/29
慧の本箱
22
1955年、アメリカの3大ロングトレイルのひとつ、アパラチアン・トレイル(約3500km)を11人の子供と23人の孫がいる67歳の女性が、はじめてスルーハイクした。その様が記されている本書。日本の国土だと北海道の先端から沖縄の石垣島までが直線で約3000kmだそうです。それよりも長い距離を只ひたすら歩いた67歳のエマ。おまけにスニーカーと手製の特大巾着袋一つで寝袋もテントも何も無し。この無謀とも思える行動に踏み切る彼女の芯の強さに只々脱帽。2023/07/14