内容説明
登る先にはいつも山小屋があって、その灯が、歩くべき道を教えてくれる。八ヶ岳、奥秩父、北アルプス、会津、富士山。春夏秋冬、晴れても降っても泣いても歩いた忘れがたい山と、山小屋で過ごした日々の記録。
目次
一年ぶりの山―十文字小屋・奥秩父
季節の使者―山の鼻小屋・尾瀬
幽霊の出ない小屋―丸川荘・大菩薩嶺
入笠山の料理人―マナスル山荘本館・南アルプス前衛
霧ヶ峰の記憶―ころぼっくるひゅって・霧ヶ峰
私たちの北ヤツ―蓼科山荘・八ヶ岳
星さんの天気図―両俣小屋・南アルプス
山小屋奇譚―雲ノ平山荘・北アルプス
茶の味―船窪小屋・北アルプス
自炊小屋の夜―駒の小屋・尾瀬〔ほか〕
著者等紹介
小林百合子[コバヤシユリコ]
1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人からなる山登りと本づくりユニット“ホシガラス山岳会”発起人
野川かさね[ノガワカサネ]
1977年神奈川県生まれ。山や自然の写真を中心に作品を発表する。クリエイティブユニット“kvina”、自然・アウトドアをテーマにした出版・イベントユニット“noyama”の一員としても活動する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュール リブレ
93
ただ主人と会って酒を酌み交わすために山小屋へ行く。そんな山旅があってもいいですね。人に歴史あり。名物をつつきながら人生を聞き、静かに夜がふける。訪ねてみたくなりました。2021/08/11
ぶち
48
山が違えば山小屋の佇まいも変わります。著者たちが歩いた山と滞在した山小屋16軒について紹介してくれています。どの小屋も魅力的です。実際に訪れたことのある小屋のことを読むと、そのときの山行が思い出され、それぞれの小屋の雰囲気やランプのほの暗さ、ストーブや囲炉裏の匂いを懐かしく想いだしました。小屋には街とは別の時間が流れていて、時代の変化の速さとは別のリズムがあります。そんな山小屋にはずっと変わらないでいて欲しいと思います。山や山小屋の魅力がとてもよく伝わる文章と素敵な写真。写真を眺めるだけでも大満足です。2018/10/02
ぶんこ
44
高原や森は好きでも登山は苦手なので、山小屋へ泊まりには行けませんが楽しく読むことができました。山小屋によって、主人や山そのものの個性によって異なる味わいがあるのが分かります。登山者の安全のために毎日ラジオの気象情報をチェックする星さん。焼きたてパンが食べられるマナスル山荘。富士山の日の出館から見る、雲海から登る朝陽も見たい。登ることができないので、どんなに憧れても叶わぬ夢なのですが、野川さんの写真の素晴らしさで夢叶ったりと思うことができました。2019/01/26
booklight
41
野川かさねさんの写真に魅かれて。ヤマケイのワンダーフォーゲル連載をまとめたもの。古風なつくりと内容だが2018年発行とあって驚く。20世紀の話でも驚かないような、牧歌的で温もりのある16の山小屋の話。主の様々の想いで提供される山小屋は、手作りの個性が感じられて、とてもいい。静かで温かみのある様子が伝わってくる。山小屋はハイシーズンしか泊ったことがないので、ピークハントだけでなく、こういう付き合い方もあるのかと楽しみが増えた思い。勝手な願いだが、こういうところも残ってほしい。山の凛とした空気を思い出した。2021/07/11
けんとまん1007
40
ずいぶん昔になるが、就職してから山登りをしていた。いろいろな山小屋に泊まったし、それ自体が楽しみにもなっていた。日常と違う時間の中、空気も違う中、ゆったりとしたものがあった。そんな記憶、想い出が蘇ってきた。また、行きたくなってきた。2020/05/03