内容説明
南アルプス・北岳にある両俣小屋。その小屋番による大型台風襲来からの生還記。1982(昭和57)年、全国に95人もの死者・行方不明者という被害をもたらした大型台風10号。台風は若き登山者たちが集まった両俣小屋にも襲いかかり、小屋は土石により崩壊の危機に直面する。一難去って、また一難。繰り返す大自然の猛威からいかにして生き延びたのか。台風の恐ろしさ、そして若き登山者たちの勇気と不屈の魂を描き出した伝説の名著がついに復刻!
目次
穏やかな日々
両俣小屋へ
九州地方の豪雨のころ
台風前の晴れた日に
昭和五十七年八月一日
長い夜
夜明けの恐怖
優しい光を浴びて
テント場の十六人の行方
ささやかな晩餐
第二の試練
四パーティーは一パーティー
学生たちの手記
著者等紹介
桂木優[カツラギユウ]
1950年福島県生まれ。1971年頃から登山を始める。1978年から広河原ロッジで働き、冬は八方尾根スキー場に入る。1980年、両俣小屋の小屋番になり、1983年から管理人になり現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えんちゃん
48
読友さんのレビューに惹かれて。1982年台風10号に襲われた南アルプス北岳・両俣小屋のドキュメンタリー。土砂崩れにより広河原への道が閉ざされ、仙丈ヶ岳経由北沢峠への避難を余儀なくされた41人。無事に生還できるのか。九死に一生スペシャルそのもの。心臓を痛くしながら時に涙する。大自然へ立ち向かう若き山小屋管理人女性や大学ワンゲル部員たちの逞しさよ。大自然の脅威と人間力の素晴らしさを知る。伝説の名著。2025/07/28
NADIA
29
1982年8月日本を襲った大型の台風10号。南アルプス・北岳にある両俣小屋の小屋番「両俣のおねえさん」視点で、小屋崩壊の危機から大学生中心の登山者たちと全員生還したドキュメンタリー。初めて直面する危機に、深く考える暇も与えられず、全員の無事のためにリーダーとして最善を尽くさねばならない。だが「ああすべきだった。こうすべきだった」と悔やむことも多かった。それでも全国で95人もの犠牲者の出たなか、全員無事だったという事実は大きい。また避難時に所属団体の枠を超え、一丸となって危機を乗り越えた全員に超胸アツだ。2025/08/13
おかむら
25
40年前の伝説の名著をヤマケイが復刻! 1982年の台風10号災害時、南アルプスの小さな山小屋にいた登山客たちを土石流が襲う。若き女性管理人(小屋番)によるサバイバルドキュメンタリー。ワンゲル部の学生さんたちの雰囲気が 今読むととっても80年代(昭和感)で良いです!タバコとウイスキーだぜ。なぜコレを映画化しないんだというくらい危機また危機の面白さ!管理人は戸田恵梨香で。2025/07/07
roatsu
15
南アは両俣小屋のレジェンド管理人、星さんが若き日に体験した台風10号の猛威からの生還録であり、淡々としながらも自然の猛威を的確に捉えた筆致が読者の眼前にありありと往時の現場を蘇らせてくれる。危機管理ではなく、もうやるしかない危機対応の実例であり、当時20代で一人小屋番だった彼女が運もあったとはいえいかによく対応したかがよくわかる。また現代の社会人や外人の個人登山が主体ではない42年前の夏山が大学のワンゲル、山岳部の集団登山で日本人の若者達で溢れていたことも過ぎし往時の姿として印象深い。道具も全然違うしね。2024/07/22
Nobuko
8
1982年8月 台風10号がもたらす悲劇から奇跡の生還 自主制作本だったようですが迫力でした 2025/01/30