出版社内容情報
他人の基準で選ばれた山をなぞることに何の意味があるのだろう。
百名山に憧れつつも多忙から百名山をめざさなくなって二年。
気ままに登るしかない、自分の登りたい山をめざす、と著者は自己弁護を重ねていた。
しかしある日、有名企業の会長が百名山を完登した新聞記事を読んで「落雷を受けた」ようなショックを感じる。
激務の人でも登ったのに、自分は……。
そこから著者の新しい「百名山」が始まった。
関東周辺は日帰り、一泊コースで登り、九州は年末年始に集中的に登る。
そして北海道、東北、北陸へ。著者は山岳会などに所属せず、単独行が圧倒的に多かった。
それゆえに危険な目にあったり、失敗したことも本書では赤裸々に語られている。
山小屋でガソリンストーブが引火して爆発しそうになったり、道に迷って必死でヤブこぎをしたり、ヒグマに恐怖したり。
悲観と楽観、緊張と安堵が交錯する様子は、単独行者なら誰もが胸に沁み、感じ入ることだろう。
いまから30年以上も前は「単独登山はやめましょう」と言われていた時代だったが、それでも登り続けた著者が見つけた自由と自立。
なにものにも束縛されず、出会ったすべての登山者に感謝するその姿勢は30年たった今でも色あせることはない。
百名山をめざすすべての登山者に語り継ぎたい、珠玉の山行記。
1988年以降の百名山ブームを踏まえ、深田本を知らずに百名山へアプローチしている人に向けて、深田久弥の思索をたどれるよう巻末に百名山に関する情報を大幅に追加。
内容説明
百名山をめざす全登山者必読の書。著者は70年代から80年代にかけて、ひとりで百名山に登った。「他人の基準で選ばれた山をなぞることに何の意味があるのだろう」と思い、挫折しそうになることもあったが、その心を再び奮い立たせたものとは―。登頂の喜びはもとより、単独行ならではの心の迷いや失敗までをも包み隠さず記した本書は、刊行から30年以上たった今なお胸に迫るものがある。巻末の百名山解説を大幅に増補して復刻。
目次
第1章 『百名山』の山麓を歩く(石鎚山;美ヶ原 ほか)
第2章 『百名山』の五合目に登る(宮之浦岳;開聞岳 ほか)
第3章 『百名山』の頂上部が突如見える(苗場山;安達太良山 ほか)
第4章 『百名山』の長尾根にあえぐ(奥白根山;利尻山 ほか)
第5章 『百名山』の胸突八丁を登る(鳥海山;幌尻岳 ほか)
付録 『日本百名山』完登のためのアドバイス
著者等紹介
佐古清隆[サコキヨタカ]
1946年、香川県琴平町生まれ。学生時代は兵庫県西宮市で過ごす。1969年から東京に移り、料理書、旅行案内書の編集に携わる。趣味で長野県の道祖神めぐりをしているうちに山の世界にひかれ、1975年5月から見よう見まねで山歩きを始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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