内容説明
自然のなかに身をおかなくても平気で生きていける人がいるように、そうでない者もいる―。本書は四〇代を目前に、東京から金峰山北麓に移り住んだ田渕義雄の自給自足的田園生活のはじまりの記録である。暮しの喜びや苦労、さまざまなアウトドアの楽しみを軽快な筆致で綴ったエッセイの数々。原書発刊から二十五年後の執筆となる単行本未収録の掌編も二編収録する。
目次
第1章 赤いトタン屋根の家の写真スケッチ
第2章 小さな森の片隅で(コールド・マウンテンの新参者;冬を数える;我が家の二つの薪ストーブ;冬から春へ ほか)
第3章 山暮し屋のアウトドア・ライフ(モーターサイクルの旅;冬の旅;ソフトハウス、又はティピー;ぼくの夏山登山 ほか)
著者等紹介
田渕義雄[タブチヨシオ]
1944年東京都生まれ。10代、20代、30代は山登り、キャンピング、フライフィッシングと毎日がアウトドア・アクティビティー。1982年、標高1400メートルの金峰山北麓の山里に移り住み、自給自足的田園生活を実践。孤立無援をおそれず自分らしく生きたいと願う人たちに幅広い支持を持つ自然派作家であり、園芸家、薪ストーブ研究家、家具製作家であった。2020年1月永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takeapple
12
単行本を持っていて、何度も何度も読見返していたけれど、文庫本が出たら買ってしまった。だって未収録のエッセイ2編載っているって言うなら、読まないわけにはいかないから。思えばこの本を読んでこの地へやってきたんだった。信州のハイランドではないけれど、岩魚が泳ぐ川があって、薪山があって、冬は雪に覆われて、鳥が歌う地。ぼくの場合は、その地で給与所得を得ていたので、移住後30年は働きづめで、ろくに田舎暮らしをできたわけではないけれど、そろそろ定年だし、子どもたちも巣立ったし、田渕さんのように暮らしていこう。2023/01/28
らむし
4
人間は遊ばないとないとダメになる生き物だと思った。最初にカラーの写真があったのでどんな風に過ごしているのか想像できた。2024/04/07
百福
2
80年代に発表されたエッセイ集の2022年の再刊本。行きすぎた資本主義に疑問を感じ始めた自分に刺さりまくった一冊。雪に閉ざされた寒山の冬が明け、喜び勇んで麓のスーパーへ食料の買い出しへ。しかし、買い込んできた食べ物は、そのほとんどがパッケージで、なんのことはないゴミを買ったも同然なのである、と言う悲嘆と憤り。GNPに現れない価値の追求、豊かさへの希求に強く共感した。そして、「ひとりでもやってみる」ことの大切さとそのための勇気をいただきました。RIP2023/01/28