内容説明
人間とは、いったいどういう生き物なのか?―動物行動学の泰斗である著者が、生物としての「人間」を、容姿・言語・社会などの話題をさまざまに展開しながら、わかりやすい言葉で語る。ドーキンスの利己的な遺伝子、ダーウィンの進化論、チョムスキーの生成文法、ヴァー・ヴェーレンの赤の女王説など、生物学の基本的な理論も本書を読めばユーモアを交えた解説で楽しく理解できる。著者が京都精華大学で行った最晩年の講義であり、今を生きる「人間」必読の一冊。
目次
動物はみんなヘン、人間はいちばんヘン
体毛の不思議
器官としてのおっぱい?
言語なくして人間はありえない?
ウグイスは「カー」と鳴くか?―遺伝プログラムと学習
遺伝子はエゴイスト?
社会とは何か?
種族はなぜ保たれるか?
「結婚」とは何か?
人間は集団好き?
なぜオスとメスがいるのか?
イマジネーションから論理が生まれる
イリュージョンで世界を見る
著者等紹介
日〓敏隆[ヒダカトシタカ]
動物行動学者。1930年東京生まれ。東京大学理学部動物学科卒業。理学博士。東京農工大学教授、京都大学教授、滋賀県立大学初代学長、総合地球環境学研究所初代所長、京都精華大学客員教授を歴任。2000年に南方熊楠賞受賞、2008年に瑞宝重光章受章。2009年11月没。広く深い教養をバックボーンに、誰にでもわかる平易な言葉で、動物行動学および生物学の魅力を長く伝えてきた功績は大きい(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mae.dat
236
章毎に三千字程度のレポート提出しますので単位下さい。30代の頃だったと思うけど、生きるテーマの一つとして「人間社会で動物種ヒトとして生きる。如何にして」と言う事を心の奥底に掲げていた事を思い出しました。人間も生物のひとつですので、遺伝子にコントロールされ、時には翻弄されますね。でもヒトは知性を持ちますから、コントロール下で折り合うポイントを見出す事は可能なのかと。本来ヒトの生活スタイルも、社会性が歪ませますね。人間を動物として一歩引いた形で理解する事は、自身、種族を知る事として有効、有益かも知れませぬ。2022/12/10
南雲吾朗
64
日高先生の講義を書面に起こしたもの。凄く面白い。本当に講義を聴いている感じだ。学生の頃、こんなに面白い講義に出合っていたなら、今の職業についていないかもしれない。この本を読むと、人間という生き物がますます不思議に思えてくる。読んで良かった。2022/04/30
ささのは
17
動物行動学者が若者にわかりやすく授業をした記録本。読みやすくとても面白い。当たり前と思っていた人間の体の造りや社会が実に不可思議で、奇怪で、奇跡に思えてくる。あれこれ思い悩むこともこんな観点から見たら遠い宇宙から小さな地球を見るようなものかも。人間の学習能力と社会についての話になるほどと納得。遺伝子の話にもびっくり。有名学者たちの研究やエピソードもさらっと紹介していて興味深い。授業時間が限られている事もあり、面白いさわりだけで、もっと知りたくなる。先生の別の著作や他の本も読んでみたい。2023/01/21
かもすぱ
12
動物行動学者である著者の最晩年の講義を書籍化。おじいちゃんが語りかけるようなゆるい雰囲気で気楽に読める一方、容姿・言語・性別・社会・集団・世界認識など広い範囲をカバーしていて、著者の集大成的なものを感じる。動物は〇〇なことをする、じゃあ人間はどうなんだという問いかけから、人間とはどういう生き物か、どういう行動をするようにできているのかを浮かび上がらせていく。「案外動物も××する」みたいな話もあって面白い。2022/09/28
ねこさん
12
全然難しくなくて、面白く読めました。実際の講義の内容を書き起こしているので講義を聞いてる感じで分かりやすい。人間が体毛を失った訳など…進化する過程を知るって面白い。他の著書も気になりました。2022/08/13




