内容説明
戦中戦後の混乱期に自らの生き方を問い、その情熱を山に燃やした小山義治氏の手記。三一〇〇メートルの山頂の一角に小屋を立てるという大胆な発想、自ら資材を担ぎ上げ完成させた実行力。その北穂高小屋は一九四八年の創設以来、現在も槍・穂高縦走の核心部で登山者を見守り続けている。読み手の心を揺さぶる著者の内省的で力強い文章もまた時代を超える。
目次
山小屋を建てる
北穂高に暮らして
遭難
山旅
いま思うこと
再び、いま思うこと
著者等紹介
小山義治[コヤマヨシハル]
1919年、東京都恩方村(現・八王子市)生まれ。穂高の山々に魅せられ1945年信州に移住。北穂高岳に山小屋の建設を決意し、自らも資材を担ぎ上げて1948年に北穂高小屋を開業。また滝谷の岩場に多くのルートを開拓し、仲間とともに積雪期の北アルプス縦走や利尻岳南稜登攀など行なった。2007年没(享年87)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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templecity
10
北穂高山荘を創設した著者の著。山荘が出来たのが終戦直後の1947年。そもそも山荘を造ることにことに反対したものもいた。その理由が北アルプスの大衆化を懸念する特権主義的な考え。著者の小山は山の安全を願っての発送であった。場所は確かに水場が無く、雨水に頼るという場所ではあるが眺望は良い。また数々の遭難にも遭遇している。装備が今より劣るというのと気象情報を得るのも大変だったこともあるであろう。登山の技術の進歩してきたと思える著である。 2022/04/29
Teppei Sakano
0
ストイックかつブレない信念。そして燃えるようなロマンチスト。言葉にすると陳腐かもしれないけど苦悩する姿も含め清々しく情熱的な青年期の姿に心打たれた。北穂高小屋はずっと憧れの場所。いつか自分も滝谷の絶景に心震わせたい。2022/04/16
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