内容説明
植村直己と明治大学山岳部の4年間を過ごし、共同生活を送った友が描いた、稀代の冒険家の青春と終わりなき挑戦。誕生から、大学山岳部時代、海外への旅立ち、アマゾン河イカダ下り、エベレスト登頂、五大陸最高峰登頂、グリーンランド3000キロ、北極圏1万2000キロの犬ゾリ旅、北極点グリーンランド単独行に至る冒険の軌跡をたどる。作家・開高健との対談を収録。冬季マッキンリーにいたる足跡の解説を加え文庫化。
目次
「冒険野郎」はいま…
「アダ培」と「但馬牛」
「ゴキブリ」と「どんぐり」
一一〇ドルと三五〇〇円
寂しき代打ホームラン
アフリカ二つの「冒険」
三〇ドルを惜しんで
エベレストの石の重さ
日の丸と武士道
極北の大自然と三畳一間
白い独房の三一三日
北極点に何がある
著者等紹介
中出水勲[ナカデミズイサオ]
1942年、富山県生まれ。富山県立伏木高校卒業後、1960年、明治大学政経学部入学と同時に山岳部に入部。同級生に植村直己がおり、ともに積雪期の剱岳を中心に活動する。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社、スポーツ記者としてボクシングや相撲、ラグビー、アイスホッケーなどを担当。運動部長を経て、日刊スポーツ出版社の取締役編集長を務め、2002年に退社。2020年2月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hatayan
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単行本は1978年刊。著者は植村直己と明大山岳部で同期の新聞記者。植村は劣等感をバネに他人と違った世界で自分の存在を誇示することを意識。海外でも粘り強く生き抜く熱意で冒険家として認められます。遠征隊に参加して頂上で味わった寂しさは植村を単独行に傾斜させますが、冒険の規模が大きくなるにつれ資金をカンパや講演に頼るようになり、周りの期待に次第に縛られるように。晩年、植村はエベレストで隊員を喪い南極横断を断念、失意のなかマッキンリーで消息を絶ちます。本書は、まだ上り調子だった頃の植村を知ることのできる一冊です。2020/09/11