内容説明
足の向くまま山歩き、いで湯に浸かれば忘我の境地…。山に移ろう霧と、いで湯の煙に包まれ、観照と夢想、仙境と俗界を往き来する“池内ワールド”。東北、関東周辺を中心に、北海道、北アルプス、西は四国の山、楽しくて味わい深い二十七篇の名作紀行集を文庫化。
目次
天気がいいので(檜原村;乾徳山 ほか)
仙人志願(秋田駒ヶ岳;高天原温泉 ほか)
雲と口笛(八甲田山;峠の山道 ほか)
枯木の白鳥(四国・剣山;会津・七ヶ岳 ほか)
著者等紹介
池内紀[イケウチオサム]
1940年、兵庫県姫路市生まれ。東京外国語大学卒業後、東京大学修士課程修了。神戸大助教授、東京都立大教授、東京大教授を歴任し、55歳から文筆業に専念。フランツ・カフカをはじめとするドイツ文学の翻訳のほか、文学論、文化論、エッセー、詩集、小説など幅広い分野で数多くの著作がある。ゲーテ「ファウスト」(1999~2000)で毎日出版文化賞。「カフカ小説全集」(2000~02)で日本翻訳文化賞、「ゲーテさんこんばんは」(2001)で桑原武夫学芸賞、「恩地孝四郎 一つの伝記」(2012)で読売文学賞。2019年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
63
朝に山に登り、夕べに温泉の中に身を浸す。登山の後の温泉が最高なように、登山と温泉は切り離せない関係にある。本書は著者が各地の山や温泉を巡ったエッセイとなっている。元々著者のエッセイは好きで、その飄々とした筆遣いで読む旅行記などは随分楽しませてもらってたけど、今回は山と温泉に焦点が当てられているせいか、そのどこか浮世離れした文章に磨きがかかった感じ。各地の高名な山々、白山や早池峰、剣山といった山行にそこに付随する温泉を著者の筆で追体験すると、自分もその場所に行きたくなってしまう。温泉に行きたいなあ…。2021/12/20
くわたあかね
6
わたしも……ときどきはこんなふうに山に登ってお湯に浸かりたい。今年はそうしたいな。2024/02/29
coldsurgeon
6
山旅といで湯、そのエッセイである。温泉につかるために山旅で出かけるような、そんな雰囲気が読んでいて気持ちがいい。私たちは自分の身体をずいぶん邪険に扱っている。ひたすら酷使して、ろくに面倒をみてやらない。だからたまに湯びたしにするのも悪くないのだ。どこか温泉に出かけたいなあ。2020/07/07
Stevie G
4
男一人での山歩きをしている方は結構多いと思います。足手まといな家人など連れて行かなくて、勝手気まま、風の吹くまま、頂上での昼寝と、温泉とビール。よろしいですなあ。でもちょっと寂しいネ。山道ですっころんでも、誰も見ていないし、ちょっとした怪我も、動けなければ命に関わったりするし。ヤマケイさんとしては、年配の男性の計画性のない単独行は推奨する立場ではないはずなので、あまりまねしないようにどこかで言っておいた方が良いかもしれませんね。著者のご冥福をお祈りいたします。2021/02/20
gibbelin
3
この世の極楽について。2020/07/20