内容説明
山を仕事場とする猟師や、山里に暮らす人々が実際に遭遇した奇妙な出来事。深い親交を持つ著者だからこそ聞き得た阿仁マタギの体験談をはじめ、時代の流れとともに消えつつある「語り遺産」を丹念に集めた現在形のフィールドワーク。「現代版遠野物語」として絶賛されたベストセラーを遂に文庫化。書き下ろしの「山怪後日談」を収録。
目次
1 阿仁マタギの山(狐火があふれる地;なぜか全裸で;楽しい夜店 ほか)
2 異界への扉(狐と神隠し;不死身の白鹿;来たのは誰だ ほか)
3 タマシイとの邂逅(帰らない人;死者の微笑み;迎えに来る者 ほか)
山怪後日談
著者等紹介
田中康弘[タナカヤスヒロ]
1959年、長崎県佐世保生まれ。礼文島から西表島までの日本全国を放浪取材するフリーランスカメラマン。農林水産業の現場、特にマタギ等の狩猟に関する取材多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
100
サブタイトルは山びとが語る不思議な話。全国の山にまつわる不思議な話を山人を訪ねて聞いたもの。マタギや山仕事していっるときに不思議なことが起ころことはどこでも共通のようだ。狐火やツチノコ、山から聞こえてくる音他・現代科学文明ではまだ解明されていないのも多い。しかしその原因を素人は思わない。山に対する敬意や畏怖というものが最近は無くなってきたように思う。険しい山を軽装で登ったりバーベキューの始末をセずに帰ってしまう他。ジブリ映画の「もものけ姫を思い出した。人は自然に横柄になった。2023/11/01
goro@the_booby
83
生憎というか幸運というかお山で怪しいモノに出会った事はないが、居るか居ないかと言われれば居るような気になる時がある。心の持ちようとも思えるが日が落ちた山の中は本当に心細く急いてしまう。後ろから音でも聞こえたら腰抜かすほどだわ。人も居ない太古の昔からあるんだから人がすべてを説明できるなんて烏滸がましいかもしれない。日が落ちた山の中は異界だと思う…。2020/08/12
キンモクセイ
63
以前読んだ神隠しの本でも山で人が忽然と消えるという事を知った。著者が長い間、猟師や山に暮らす人を取材する中で聞く事ができた話は多い。マタギの人が遭遇する体験に狐に化かされる話がある。私も小さい頃祖母が話してくれた中に狐や狸に化かされる話があった。実際にどんな事が起こったのか詳細な部分は今となっては聞く事ができないが。今現在でも山と共に暮らす人々には「化かされる」は日常にあるのだ。山に入って帰ってこない人も多いらしい。ニュースにならないから、私達が知らないだけかもしれない。確かに山には何かが存在すると思う。2020/07/18
Shoji
57
猟師など深い山々で生活をする人たちの奇譚集です。著者が山で生活する人たちから丁寧に拾い集めた口承伝承されたお話です。非科学的なお話ばかりです。民俗学的なお話であったり、民話のようなお話ばかりです。親から子へと家族が普通に語らう場所や時間は今や絶滅しかけています。口承伝承されていく民俗や文化はやがて消え行くのでしょうか。ネットやゲームに侵食されている世界への警鐘のように感じました。2019/07/23
ホークス
54
元本は2015年刊。昭和後期にマタギや山間地の人から聞いた話。昔話や伝説のように素朴な雰囲気。雪の積もる山中で、猟師たちが小さな洞窟に入ると焚き火が燃えている。誰も居らず、周囲に足跡も無い。山の畑から行方不明になった幼い女の子が、大人でも登れない大岩の上でニコニコ笑っている所を見つかる。吹雪の夜、雪洞に一人で避難していると、誰かが自分の名を延々と叫んでいる。無人の山小屋で寝ていると、誰か登ってきて戸を開ける音がする。起きても誰もいない。気配だけの事も多く、どの話も次第にじわじわ怖くなる。狐も狸も怖い。2021/05/12
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