内容説明
旅行雑誌『旅』を二十年以上にわたって編集した名編集長・岡田喜秋が、一九六〇年から一九八〇年の間に書き記した「旅心」の書。心にふれあう旅、季節との出会い、そして人生の途上にある旅を描いたエッセイは、半世紀のときを経た今でも色あせることはない。『日本百名山』の著者である深田久弥との交流を描いた「深田久弥の山と死」は登山者必読。
目次
心にふれあう旅(旅心の秘密;旅路での自問自答;若い男のひとり旅 ほか)
季節との出会い(四季ある国のよろこび;早春の花の記憶;季節はずれの古都 ほか)
わが人生の行手に(レールの彼方;常念岳の黙示;戦争とアルプス ほか)
著者等紹介
岡田喜秋[オカダキシュウ]
1926(大正15)年、東京生まれ。作家。旧制松本高校を経て、東北大学経済学部卒業。日本交通公社に入社し、1959(昭和34)年より12年間、雑誌『旅』編集長を務める。雑誌編集者時代から日本各地を取材して、数多くの紀行文を発表。日本交通公社退職後は、横浜商科大学教授として、観光学の構築に努める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
T2y@
36
ソロ山旅に向かう前、心のガイド本として手に取ってみました。 旅情とは 、風景や情景と言った外的なものだけでなく、心の中に起こる 「情 」も含まれる。 旅の捉え方、向き合い方。について考えさせられる。 本書が書かれたのは、昭和30年代。戦後、若い女性が旅に出始めた頃の情景描写も新鮮に映る。 深田久弥、松本清張との親交についても、それぞれの人となりが伺えて、思いがけず読み応えがありました。 2019/06/18
mawaji
8
入院が決まって付き添いに来ていた長男から「ちょうど読み終わったから」と渡された一冊。事前にガイドブックとかで詳しく調べて現地に着いたら有名観光スポットをこなすように巡っていく旅(私もしてます)もまた一興でしょうが、やはり旅情は生まれにくいでしょう。「芭蕉に帰れ」への反省はとても示唆的に感じられました。「旅でみた風景などを書いてみても意味はないからやめろ」という言葉は高圧的に捉えられるかもしれませんが、何度か深呼吸してから考えてみてもよいのかもしれません。俗化という表現はつねに文明開化と表裏一体なのですね。2023/01/31
hana.
5
私が望んでいたより堅苦しく、今すぐ旅に出たいという思いに駆られなかったのは逆に助かった。目的地へ着くことだけが旅ではない。今はメディアが発達して、実際に行かなくてもその風景を知ることができる時代。旅とはどのようなものなのか、どのような魅力があるのかを力説しているのが前半。後半は主に山に憧れ山と共に過ごしてきた著者の山への想いが綴られている。山登りから旅へ、旅が生活に変わり、ふるさとを想う。その名も『旅』という雑誌の編集に22年間携わってきた著者の、旅に対する見方が分かる1冊。2018/06/24
hitsuji023
3
前半は少し理屈っぽく、旅に対してこうあるべきという考え方が鼻につく感じがした。後半になるにつれ日本の四季に関する話、尾瀬や京都などの話など面白くなってくる。特に著者自身の戦時中の話や松本清張の「点と線」にまつわる話は面白い。都内から松本の高校に入学するほど山が好きというのはすごい行動力だと思う。2018/11/27
Ayumi Shimojoh
3
GWにやっと読み終わった。無印ブックスの旅コーナーで出会って、何ヵ月?笑笑。大正15生まれの旅雑誌編集者のエッセイ集。信州まつもと、みちのく、が著者の山と旅を生み出された畑なんだな。戦争中とその後の仙台での青春期の強い描写が貴重。まさに「国やぶれて山河あり」の風景だったそうだ。2018/05/02
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