内容説明
畦地梅太郎の郷里である愛媛の山々や奥秩父、北アルプスなどの山行を綴った47編におよぶ紀行随想集。文章に合わせて随所に挿絵が入り、絵本としても楽しい画文集。巻頭に代表的な「山男シリーズ」など、カラー16ページで口絵を組み、独特の畦地ワールドを再現している。
目次
雪の峠道
はじめてはいた輪かんじき
わたしの雪中登山
四国の高原大野ガ原
ウドを食う
秩父の山小屋
伐採村を訪ねて
烏川源流を下る
峠への道
念仏を唱える〔ほか〕
著者等紹介
畦地梅太郎[アゼチウメタロウ]
1902年、愛媛県宇和島に生まれる。版画家。1920年、18歳で上京。油絵の自修期間を経て、27年、日本創作版画協会展に出品し入選、版画家への道を歩み始める。1940年ころより山を主題にした版画にとりかかり、山男シリーズなど版画作家として独自の世界を確立した。版画作品のほか、山の紀行文も数多く執筆し、多くの版画集、画文集を発表した。1999年、96歳で逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
80
著者が訪れた山々についてに画文集。表紙がいいなあ。そして巻頭の数ページのカラーで印刷された絵もとてもいい。各ページごとに描かれた絵も素敵だ。柔らかい文体で書かれた山にまつわるちょっとしたことや、描かれた短いエピソードも。たしかヤマケイ文庫の数冊は彼が描いた表紙が使われている。著者の本をもっと読んでみたいと思った。図書館本2024/03/18
にし
42
山旅紀行文。見たこと感じたことを文や画にしたり自分の眼玉でみた山だから『山の眼玉』気負ったり尖ったりせずに結構ハードな山行もノンビリとした文になるのは畦地さんの人柄でしょうか。巻頭の版画は山男の他に燕、石鎚山、涸沢等、山の魅力をシンプルに描いた風景版画が特に素晴らしい。古きよき時代が本に詰まっています。2014/10/19
roatsu
16
「山男」をはじめ一度見たら忘れない茫洋としながらも力強く、優しい山の絵画を遺した畦地さんの主に戦前から戦後間もない頃の山歩きの記録。当時の山里や山小屋の様子を知れる史料的価値もあると思う。貧しさと乏しさ、不便さが当たり前だった時代の、それでいておおらかな心豊さもあった山旅の様子が伝わる温かい文章で心地良い。交通機関も現代のように充実せず、長距離移動に時間のかかる時代に、あちこちの山へよく行ったものだなあと感心。2015/10/11
しろくん
8
北アルプスの山小屋に幾つか展示されていてこの版画に興味を持ち、読みました。簡単な散文だけど、この時代にあちこちの山を歩いた時の一つ一つがまるで今の出来事みたいな新鮮な気持ちにさせてくれた。山が好きな人は必読だなあ。2013/10/29
pitch
6
自分がネットではなくリアル書店で本を買いたいのは、こういう出会いがあるからだと改めて思う。平積みになっていたこの表紙と、まさに目が合ってしまって購入。版画家畦地梅太郎による、山歩きの記録。独特な語り口の文章と、簡素でありながら雰囲気をよく伝えるスケッチ集。半世紀以上前に出た本なので、往時の登山の記録としても貴重。凄い拾い物をした気分で大満足。2019/04/23