内容説明
山で遭難し、生死の境をさまよった後に生還した登山者に密着取材。厳冬の北アルプスから近郊の低山まで、ある者は重傷を負い、ある者は十七日間の長期に及んで、山に閉じこめられながら、彼らはいかにして生き延びたのか。悪天候や寒さの中、食糧も絶えた極限状態からの生還の理由を、遭難者の肉声から探る。初版時の七つのケースに、近年の丹沢・大山での遭難事例を加えて再編集した文庫版。
目次
思いこみの落とし穴―北アルプス/南岳
行き詰まった沢ルート―福島/飯森山
フラッシュが救った命―北アルプス/西穂高岳
十七日間の彷徨―志賀/岩菅山
暗転の沢―南アルプス/仁田沢
修験道の道迷い―大峰/釈迦ヶ岳
風雪にかき消された下山路―北アルプス/槍ヶ岳
低山で道迷いの四日間―丹沢/大山
追記―八つのケースの教訓より
著者等紹介
羽根田治[ハネダオサム]
1961年、埼玉県生まれ。フリーライター。山岳遭難や登山技術の取材経験を重ね、山岳専門誌『山と溪谷』や書籍などで発表する一方、沖縄、自然、人物などをテーマに執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
66
(2024-172)登山者の遭難事例を集めたドキュメント。タイトルには「生還」とあるから無事戻ってきたのはわかるのだが、その経験はどれもハードだ。骨折した骨の見える傷口にたかるウジ虫を必死に取り除くなんて、想像しただけ。総じて言えるのは、帰路で焦ったり、疲れていると道を間違えやすいことだ。生命を救った理由としては、例え日帰りでも非常食とランプがあったこと。ルートを事前に家族知らせてあり、捜索が早かった。遭難してもパニックにならず冷静に行動したなどがあげられる。読んで参考になることが多い本でした。★★★★2024/11/23
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
55
予期せぬアクシデントに見舞われた時、人は何を考えどう行動するのか。生きて帰れた者はどのようにして生をつなぎとめていたのか。山岳遭難からの生還の8つのケースを収録。「全員が救助を待った結果として生還を果たした」というのが印象深い。また、はじめにのところで触れられている西穂高岳を舞台におこった24歳女性2人の遭難が痛ましい。1人は9日目、もう1人は11日目に奇跡の生還を果たしたが、翌年、遭難現場を見に行くと言って西穂高岳に入山したものの2度と帰ってこなかった。さすがに、2度めの生還はないということだろうか。2019/08/28
扉のこちら側
41
初読。2015年360冊め。登山経験0なのだが山岳関係の本を読むことには非常に興味がある。内容が内容故にインタビューに応えてくれない方がいるのは仕方ないが、その中でよく書いてくれているなとシリーズを読んでいて思う。2015/03/27
みなみ
28
山で遭難して生還した人達への密着取材がまとめられている。山登りの面白さとして「危ないところに魅力があるのはたしか」というところは理解できるものの、一瞬の油断が命取りになってしまうのは恐ろしい。体温の低下と体力の消耗を抑えつつ、生きたいという気力を保つことが大切なのがよく分かる。ただ、生き残ることが出来たのは、ヘリが発見してくれたなど色んな巡りあわせがあってのことなので、登山のときにはきちんと道具を準備することが大切だと痛感。2023/03/13
hatayan
28
生死の境をさ迷うような過酷な遭難から助かった事例を扱ったレポート。 山登りの経験や知識があるかどうかを問わず、災難は突然一切の予告もなく降りかかってきます。何かあったときに助かる可能性を高める手段として「家族や警察などに計画書を事前に出しておく、しっかりした装備を持っておく、遭難したと判断したときはじっと救助を待つ」の3つの教訓を著者は引き出します。 こちら側から見たあちら側は、思わぬほど近いところにあります。だからこそ、折に触れてこのような本を読み返して自戒のきっかけとしたいところです。2018/10/02
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