内容説明
谷川岳、アイガー、エベレスト、K2、そして最後の山となったグランド・ジョラスと、まるでなにかに復讐するかのように死と隣り合わせの岩壁に挑み続けた男、森田勝。登山界の組織になじまず、一匹狼としても名を馳せた男がたどった生涯を描いたノンフィクション。
目次
1 「三スラ」の神話
2 ホキ勝
3 衝立岩正面壁
4 アコンカグア
5 烏帽子沢奥壁大氷柱
6 アイガー北壁
7 エベレスト、K2
8 グランド・ジョラス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
53
過去本。夢枕獏さんの山岳小説「神々の山嶺」の主人公のモデルとされる登山家森田勝の生涯。
miwmiw
10
夢枕獏の「神々の山嶺」が面白かったので、モデルとなった人がどんな人だったのか気になり読みました。「神々の山嶺」はかなり出来事等も合わせてたんですね。性格はこちらの方が当たり前ですが現実にいそうで親しみやすい感じでした。森田さんの純粋さや不器用さが、本人を苦しめたり救ったりしたのかな。2014/01/25
drifting_girl
7
夢枕獏『神々の山嶺』の登場人物、孤高のクライマー羽生のモデルとなる人物が森田勝氏ということで読んでみた。現実にこんな人がいるのかというくらい、山にひたむきというか、もう山しか見えていない。人生の全てをかけて山に登っていたような人物。子どものように純粋で不器用。ゆえに周りとの衝突や誤解も多々あったようだ。滑稽なまでに不器用だけど、全てを犠牲にしてまでも山に挑みこだわり続ける彼のことを、みんな羨ましかったのかもしれない。2016/01/05
かめみっちゃん
5
森田勝はとても不器用な登山家です。 こういう生き方しかできなかったのだと思います。2010/11/18
arkibito
4
その男はこう呼ばれていた「ホキ勝」。「ホキ(る)」とは山言葉でダメになる・使い物にならないという意味だ。軽蔑の意が込められたあだ名は、非情なコンプレックスの鬼であった男を山へ山へと追い詰めていく。その男とは『神々の山麓』の主人公のモデルである一匹狼・森田勝である。幼少期から抱える極度の劣等感と、日々社会活動から逸脱していく閉塞感の中、山は唯一の生きる証明だった。日常生活を犠牲にしてまで山へのめり込むその姿はまるで狂気じみている。が、同時に誰にも真似できない、捨て身の美学とでも言おうか男のロマンが確かに漂う2013/10/24