内容説明
1938年7月、「死の壁」と呼ばれたアイガー北壁の初登攀に成功したハインリッヒ・ハラーは、自らの詳細な登攀記録とともにアイガーの登攀史をまとめ、北壁の象徴である「白い蜘蛛」を表題とした1冊の本を上梓した。本書は初登60周年を記念して出版された『白い蜘蛛』の増補改訂版。初登攀から今日までのアイガーの歴史が今、あざやかによみがえる。
目次
いつかは成功する
新時代の思潮のなかで
壁の中の壁
最上級
中間決算
マスメディアの中で
記録をかえりみて
著者等紹介
長谷見敏[ハセミサトシ]
1935年東京都世田谷区生まれ。都立日比谷高校から東京外国語大学ドイツ語科に進み、卒業後、丸紅入社。サッカー部主将のかたわら、北アなどの登山に親しむ。ニューヨーク駐在、モスクワ支店長、シカゴ支店長などを経て1992年よりスイスの会社社長。1996年に退職し、以後、スイスやヒマラヤの山歩きを楽しむ。著書のハインリッヒ・ハラーとは親交あり。インターラーケン在住
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ビブリッサ
7
黄金時代の先駆者達が随意に選び取ることができた処女峰はもはや無くなったと思われていた頃、まだあった!登れないと言われているアイガー北壁。本当に登れないのか?いいや、必ず一番乗りが現れる!時代のベストクライマーたちは、アイガーが静かに差し出す挑戦状に挑んでいく。一番乗りした4人のパーティの一人ハラーの作品。。知識のあるものにしか分からない地名や、今まで名で書かれていた人が急に姓で書かれていたりと少し混乱しますが、北壁に次々に取り付いていった若者の苦難と歓喜と絶望の登攀劇が描かれています。2016/04/14
hi
4
最初に出版した時から随分書き足した形なのかな。アイガー北壁登攀史にもなってる。登攀者をずっと観察できるって、すごい特異な壁だね。だからこんなにドラマがあるんや。「意味があるのかないのか。誰がそれを評価し、裁定することを許されよう。…軽蔑か英雄崇拝か。いずれも不健全でどちらもよろしくない。…われわれが具体的な理由付けをなにひとつ見つけられなくても、勇気と冒険欲にその市民権を認めてやろう(27-28p)」「多くの人々は興奮でどきどきしていた。と同時に、俺はあんな馬鹿なことは絶対にしないぞという自覚で→2016/05/06
100名山
4
原書は53年に刊行された「チベットの7年間」の5年後の58年に「白い蜘蛛」として刊行されました。 これが純粋にアイガー北壁登攀記になります。 その後89年と99年に加筆され、グリンデルワルトに立ちアイガー北壁を見続けた記録とハインリッヒ・ハラー氏の見識と思想の記録です。 一つの岩場を中心に置き、良くここまで人間世界を俯瞰したものです。 本書の最大の魅力はハラー氏が深い愛情を持って登山家を語ることです。 パイオニアワークの時代から大衆化された現在まで懐古することなく、道筋を語ります。 2010/09/23
ウ・トポス
1
装備や服装や登山技術が進化しても、自らの体を自らの手と足で上へ上へとあげていく事には変化のない登山。 アイガー北壁に魅せられた人々とそれを守る人たちの歴史が詰まってる。2019/02/21
しむちゃん
0
アイガー北壁に挑んだ登山家の歴史と困難な道程に感激2025/02/17