出版社内容情報
本書は、帝政前期ローマ社会における剣闘士競技の社会的意義を、剣闘士という存在の再定義を通して考察する。これまで自明とされてきた「剣闘士=奴隷」という固定的な通説を覆し、競技に関わる人々を動的な存在としてとらえなおす。
奴隷・一般市民・上層民・皇帝といった多様な階層と剣闘士競技の関係性を詳細に分析し、奴隷にとって社会的上昇の足がかり、一般市民にとって生業、上層民にとって名声獲得の手段、そして皇帝にとって武勇を示す機会として、剣闘士競技が機能していたことを明らかにした。剣闘士競技は、社会のあらゆる階層がそれぞれの状況に応じて利用する、多義的な存在であった。
また、主催者・観客・剣闘士という立場が固定的ではなく、人々がそれぞれの階層や状況に応じて流動的に関わっていたことを実証する。この多角的な関わり方から生まれた競技への深い理解と剣闘士への共感こそが、ローマ市民を熱狂させた要因であると結論づける。
【目次】
内容説明
先端的でオリジナルな研究をこの1冊に。
目次
序章 モノクロームな剣闘士
第一章 剣闘士競技の運営
第二章 「矛盾に満ちた存在」としての剣闘士
第三章 キャリアとしての剣闘士―奴隷の場合
第四章 職業としての剣闘士―一般市民の場合
第五章 上層民と剣闘士競技
第六章 皇帝と剣闘士競技
終章 剣闘士というスペクトラム
著者等紹介
阿部衛[アベマモル]
1986年生まれ。現在、東京大学大学院総合文化研究科学術研究員、立正大学非常勤講師ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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