目次
古代ローマ世界における都市とディオクレティアヌス
第1部 イタリア属州化と諸都市の動向(皇帝の「命令」と都市監督官―イタリア属州化とある地方都市の試み;ディオクレティアヌス治世のアクィレイア―都市・皇帝関係に見るアポロ・ベレヌス奉献碑文の意義;港湾都市オスティアと食糧長官―ディオクレティアヌス治世の都市間競争;カンパニア諸都市から見た皇帝と元老院―セリーノ水道と顕彰碑文に見る都市の動向)
第2部 北アフリカにおける戦争と平和(北アフリカ諸属州の再編と都市の動向―属州総督の活動を中心に;都市のなかの皇帝たち―顕彰碑文に見る都市と皇帝;ランバエシスからキルタへ―ヌミディアの分割と再統合から;マウレタニアから諸属州の再編成―軍事的危機と都市)
第3部 「碑文習慣」の衰退―ヒスパニア、ガリア、ゲルマニア(ヒスパニアにおける都市と帝国―属州首都と総督・皇帝の関係を中心に;ガリア、ゲルマニアの諸都市と四帝統治の皇帝たち―クラロとモゴンティアクムの碑文を中心に)
ディオクレティアヌス改革と帝国のその後
著者等紹介
大清水裕[オオシミズユタカ]
1979年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士(文学)。現在、日本学術振興会海外特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
11
ディオクレティアヌスが行った諸改革、とくに地方統治に対する皇帝権力の介入強化を検証する。本書が対象とする帝国西方に遺された碑文からは、中央から地方への圧力が一律に強まったとは見て取れず、むしろ依然として都市の自律的な支配が根強いことが伺える。またガリアでは「ラテン語で書かれた碑文を建てる」という習慣自体が薄れていることも推察され、逆に脱ローマ化の傾向も。キリスト教弾圧などからのディオクレティアヌスの強圧的なイメージを覆すような内容で興味深い。帝国の変容は、一つの改革で一気に進んだ訳ではないということか。2024/10/01
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