出版社内容情報
日本の美術史上、琳派の巨匠として知られる酒井抱一。姫路藩主酒井家に生まれながら、江戸の市井に生き、俳諧や絵画に優れた文人となった。その足跡や交遊・作品を手がかりに、隆盛期の江戸の都市文化を追体験する。
玉蟲 敏子[タマムシ サトコ]
著・文・その他
内容説明
日本の美術史上、琳派の巨匠として知られる酒井抱一。姫路藩一五万石の上流武家に生まれながら、出家をへて江戸の市井に生きる美の文人となった。近世の地図を手掛かりに、その足跡をたどるとき、浮かび上がってくるのは日本橋界隈、本所、下谷など江戸の中心地域における文学や美術の隆盛と、朱引線外の宿場や農村への広がりである。近年つぎつぎと発掘される最新の情報をまじえ、抱一とともに、現在の東京の地下に息づく二〇〇年余り前の江戸の市街や郊外を、そぞろ歩きすることにしよう。
目次
大江戸にあそぶ文人、抱一の足跡
1 譜代大名、酒井家に出自して
2 朱門=大名屋敷から、白屋=侘び住まいへ
3 江戸文人社会の成立と抱一
4 東西交流―京から江戸へ、江戸から京へ
5 地域交流―御府内から朱引線の外へ
雨華庵の記憶
著者等紹介
玉蟲敏子[タマムシサトコ]
1955年生まれ。東北大学大学院博士課程前期修了、博士(文学)。専攻、日本美術史。現在、武蔵野美術大学造形学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コットン
58
琳派を代表する人の1人として有名な酒井抱一(とは言うものの、私は『夏秋草図屏風』と『燕子花図屏風』しか知らないのですが…)の画家や文人との広い交流や影響し合う様子が伺え面白い。2018/08/27
恵美
1
酒井家出身の日本画家、酒井抱一の一生をたどれる良書。2021/08/13
水道
1
酒井抱一の足跡と交流をたどる一冊。 根岸、千住、奥多摩など、自分も東京に住んでいた頃行ったことのある土地が抱一ゆかりの地だったと知って興味深い。 俳諧にも画業と同じくらい注力しているし、琳派研究もしている。 同時代の画家、伊藤若冲、中村芳中、英一蝶などへの言及もある。 当時の文化人として抱一が江戸社会でどのように生きていたかを想像できる一冊。2021/03/28
寿里子
0
絵だけでなく俳句もおやりになる方だったのね。2021/10/19
K
0
ある程度展覧会や図録で彼の作品になれ親しみ、人となりなどをもう少し知りたいと思って手に取りましたが、活躍の舞台となった時代・文化的背景、交友関係などを知れて大変興味深い読書でした。わたしの知識が浅薄なせいで、数々の人物やその歴史的意義について学んだ上で何回か繰り返し読まないと、知識として定着しなさそうなところが哀しいけど…2018/11/26