内容説明
「かりそめにも先祖の名を絶やすことのないようにせよ」。大伴氏の危機を察し、軽挙妄動を慎しむよう家持がうながした「族を喩しし歌」。しかし、その七年後、権威を振りかざす藤原仲麻呂に対し、志を同じくする他氏の数名とともにみずからも挑んでいた。権力を握る有力者の盛衰に翻弄されるなかで、一番の支えは、代々守りぬいた氏族の名誉と誇りだったのではないだろうか。疫病・政争・戦争のなかを生きぬいた、奈良時代貴族の生涯をたどってみたい。
目次
奈良時代貴族社会への招待
1 名門貴族としての大伴氏
2 内舎人と貴族社会
3 地方赴任と中央政界
4 専制権力のもとで
5 議政官への道
6 天皇との衝突
家持の生きた貴族社会
著者等紹介
鐘江宏之[カネガエヒロユキ]
1964年生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。専攻は日本古代史。現在、学習院大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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