内容説明
韓国から五〇km足らずの位置にある国境の島・対馬。よく晴れた日には、韓国の山々や釜山の街の灯りが見える。この山ばかりの島は、ながく朝鮮半島と日本をつなぐ交流の架け橋であり、またある時には、戦争の舞台や前線基地ともなった。倭寇、宗氏、その家臣団、貿易商人、農民や海民たち。この島に生きる人びとは、朝鮮半島や九州と多様な関係をもってきた。東アジア世界の変容や日本国内の動向が、この島にもたらしたものは何であったのか?今日まで続く対馬と朝鮮半島との交流の原点を中世にさぐる。
目次
中世の対馬と海峡
1 応永の外寇から平和通交の時代へ(応永の外寇;拘留された人びと;通交の制限から条約締結 ほか)
2 外交官・通交者・商人・海民(中世対馬の外交官・宗国幸一族;宗国幸家の朝鮮貿易;『海東諸国紀』にみえる大浦宗氏と朝鮮 ほか)
3 三浦・後期倭寇・遺跡(三浦恒居倭の活動;対馬と三浦;三浦恒居倭の終焉 ほか)
近世へ、そして現代へ
著者等紹介
佐伯弘次[サエキコウジ]
1955年生まれ。九州大学大学院文学研究科博士後期課程中途退学。専攻、日本中世史。現在、九州大学大学院人文科学研究院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鯖
17
ツシマプレイ中につき(ry 中世史っていうから当然元寇入ってると思ったのですが、応永の外寇以降の中世史でした。あれ。冒頭で観応の擾乱について「錯綜した政治状態」って書かれててそっちに笑った。米が取れないことから倭寇の本拠地だったこと、三浦の乱の経緯、朝鮮からの船に「奴隷の僧を売るから米をくれ」って申し出る対馬の民。殺伐とした中世具合を堪能しました。豊富な写真見てても、あそこらへんの風景だなって分かるからゲームすごいな?写真以外に年表や系図なんか収録されてたらもっとよかったかも。2020/12/06
竜王五代の人
2
室町戦国の対馬、農業では生活できないので貿易と漁業と塩づくりで生きるのだが、普通、知行と言えば土地とかのプラスの権益を与えるところ、免税というマイナスを取り除く方だとは何か逆転している。貿易を好まない朝鮮というのも初めて知った。朝貢貿易というわけではないだろうが、朝鮮側の拒否の理由が書かれていないのですっきりしない。そして、貿易を求めて居留地でデモンストレーションしては罰されるの繰り返し。/細かいことにこだわるけど、全体像がよく見えない本。2023/01/20
こずえ
0
対馬という特殊な環境について考えるののとっかかりとして
おらひらお
0
2008年初版。有史のなかで対馬が一番活躍したであろう時代の話です。田畑が少ない対馬では、対外交易(含む海賊)に活路を見出したのでしょう。これから国境の島としてどのような役割を果たすのか気になるところです。2010/08/23