内容説明
「古代・中世」にまたがって荘園絵図が残っている数少ない事例として、旧蔵を含め、大和国西大寺所蔵の絵図、十数点を取り上げる。それらは一貫して、西大寺とその周辺を描いている。十四世紀に入ると、北に隣接していた秋篠寺とは周辺の土地に対する支配をめぐって争っており、それに関する荘園絵図も残されている。かつては条坊制が施されていた平城京内の西大寺とともに、その周辺の歴史的性格に関する紹介から始め、歴史地理学の立場を重視して、これらの荘園絵図を地図として解読し、当時の人びとによる地域の捉え方を探ることに力点をおいた。歴史地理学の概説とともに、持参して西大寺周辺を歴史散歩するガイドも兼ねている。
目次
1 荘園絵図と歴史地理学(「荘園絵図」の概観;荘園絵図の分類 ほか)
2 西大寺絵図群における古代・中世(西大寺と秋篠寺;西大寺絵図群の概要と班田図 ほか)
3 古代の京北班田図と中世の編集(京北班田図と古代の田図;京北班田図と開田図との比較 ほか)
4 中世の相論絵図に描かれた地域(相論過程と絵図1~3;第一期の相論と絵図1 ほか)
著者等紹介
藤田裕嗣[フジタヒロツグ]
1957年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程中途退学。専攻、歴史地理学。現在、神戸大学大学院人文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ずしょのかみ
2
「藤田くんはぼくの後輩なんやけど、3分で分かること30分かけて話すんですよ」と先生が仰っていた。へぇ2017/06/08
金監禾重
1
内容が日本史リブレットに合っていない。 ページ数制限が厳しいところに、著者は歴史地理学の総合的な概説と具体的な事例を書きたかったらしく、図や表を多用する学問分野としての性質上、完全にパンクしている。 巻末では分を削除しすぎたためか、文章がおかしくなってしまっている始末。 また紹介している事例も、荘園絵図が残っていない地域に一般化できないような内容で、読後の「何かを得た」感が乏しかった。 「歴史地理学」には興味があるつもりだったのだが… 残念。2017/11/09
rbyawa
0
g056、いわゆる租税用に作られたのだろう絵地図で(確か昔、この地図を差し出すことによって戦国大名の類の支配下に入るとか見た気がするなぁ)、物があるのでわかりやすいかな、と思ったものの、どちらかというとひたすらなにが描かれているかどういう土地だったか、ということに終始してしまって現実とリンクしていた様子がなかったのでちょっと残念、ただまあ、奈良西大寺にあくまでもたまたま残っていた資料ということだと、物が残っている段階で奇跡であって「荘園絵図」そのものの分析にならざるを得ないことはわからないでもないかなぁ。2016/06/14
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