内容説明
家は中世社会を理解するためのキーワードです。しかし、家や家族の問題は現代の私たちにとっても身近な存在だけに、それぞれの思い込みや、近世・近代の家族観に影響されたイメージでとらえてしまいがちです。実は、皆さんの知っている「北条政子」の名前自体もそうした近世・近代の家族観の産物なのです。そこで、中世に書かれた文献史料や絵巻物、それらを踏まえた最近の実証的な研究成果に基づいて、中世人の暮らしを支える家や性(ジェンダー、セックス)の問題をみていきましょう。
目次
1 氏と家
2 結婚と居住
3 家の継承と相続
4 家内のジェンダー
5 さまざまな性
著者等紹介
高橋秀樹[タカハシヒデキ]
1964年生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科博士後期課程修了。専攻、日本中世史。現在、文部科学省初等中等教育局教科書調査官。博士(史学)
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感想・レビュー
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珈琲好き
11
源頼朝と北条政子は夫婦別姓という糞デマからこう面白い話につながるとは。2015/12/24
shampo
3
中世の女性は基本的に固有名詞を持っていなかった「北条政子」は後世の呼び名であるという話から、中世の様々な氏や家、ジェンダーなどを当時の事例から色々知れた。 未亡人の家長「後家」は息子が家長になるかではなく、正妻か否かで決まったというのが興味深かった(少なくとも鎌倉時代の例では)。 貴族の事例が多かったけどもっと武士の話も知りたい。2020/02/16
吃逆堂
0
「家」と「性」それぞれにまあ面白いが、腰折れの二大話感。それと、まさかの井伊直虎女説…。2016/10/22
空木モズ
0
読んだっていうよりも、さらっと興味のあるところだけ読んだ。2014/07/01
わす
0
院政期には政治の中枢に多くの両性愛者がいて、彼らの性愛関係が政治をも左右した。こうした両性愛の背景にはユニセックスの美意識があって、白拍子にも見られるように芸能における性の超越は興あるものとして中世貴族に好まれたという。2024/02/03