内容説明
最近の古墳やその時代の遺跡の調査・研究の進展によって、従来の古墳時代像は大きく書き替えられつつある。本書では、そうした最新の研究成果にもとづいて、古墳のつくられた時代、すなわち日本列島における古代国家形成期の歴史を展望している。古墳からみた首長連合のあり方とその盟主にほかならない大王の性格やその変化、さらに東アジア史のなかでの倭国の文明化と古代国家の形成過程をあとづけた。
目次
古墳の造られた時代
1 日本の古墳の特異性
2 古墳とヤマト政権
3 古墳時代の人々の生活
4 日本列島の文明化の始まり
著者等紹介
白石太一郎[シライシタイチロウ]
1938年生まれ。同志社大学文学部卒業。同志社大学大学院博士課程修了。専攻、日本考古学。現在、国立歴史民俗博物館教授
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感想・レビュー
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Hiroshi
7
3世紀中葉過ぎに巨大な前方後円墳を始めとする大規模な墳丘をもつ古墳が西日本各地に現れる。やがて古墳は琉球諸島と東北北部・北海道を除く列島の各地に数多く営まれる。その造営は7世紀後葉から一部の地域では8世紀に及ぶ。この時代を考古学では古墳時代という。弥生時代に各地に形成されていた政治的まとまりが近畿のヤマトの勢力を中心に結びつきを強め、次第に国家形成への歩みを進める時期にあたる。古墳時代後半は、朝鮮半島から騎馬文化や鉄器生産・金属加工・製陶・土木建築等の新しい技術・学問・思想・宗教・芸術等を受け入れていた。2020/01/29
カラス
2
歴史秘話ヒストリアの古墳特集をみてこの時代に興味を持ちなんとなく手に取った。とりあえずこの時代は文献が残っていないこともあり、ほとんどわからないことだらけなんだなということがよくわかった。この時代に対する知識がほとんどないのできちんと論ずることはできないが、墓に関する本なのに宗教に関する記述が少ないのはよくないと思う。最低でも一章、できれば半分くらいはそれに費やしてほしかった。関係ないが、ヒストリアの主題歌が神だったのでポチりました。2019/07/12
hgstrm2
2
古墳の最大の謎は、どうしてデザインが全国で統一されているのか、どうして同じくらいの時代に始まって同じころに終わっているのか、という日本国内での同時進行性だと思うのだけど、その疑問にかなり答えてもらったし、今まで考えもしなかったようなことも書かれており、非常に興味深かった。やっぱり古代史は面白い。2019/05/31
hr
2
ザッと読み進める。三重県の宝塚古墳も紹介されている。2018/04/28