内容説明
東京大学史料編纂所は、古代から明治維新に至る国内外に残る各種史料を蒐集し、それらの史料の研究を通じて、日本史研究の基礎となる史料集を編纂、出版してきた。一九〇一年に『大日本史料』『大日本古文書』の出版を開始してから二〇〇一年に百周年を迎えたのを記念して、三つの記念事業を行った。すなわち特別展「時を超えて語るもの」の東京国立博物館との共催、『東京大学史料編纂所史史料集』の編纂刊行、そして国際シンポジウム「歴史学と史料研究」の開催である。本書はそのシンポジウムをもとに編集したものである。
目次
「ヒストリオグラフィ」と史料処理
1部 諸外国における史料の研究と編纂(ヨーロッパ中世史研究におけるモヌメンタ・ゲルマニアエ・ヒストリカの役割―過去と現在;フランスにおける中世史史料―その利用、普及、保存;フランス中世史史料と歴史研究をめぐる諸問題―証書史料の類型化を中心として;国史編纂委員会の史料調査・編纂事業;英国系カナダ史(一八六七~二〇〇二)とその史料研究―東京大学史料編纂所との対比
ローマ・イエズス会歴史研究所における史料編纂活動―その過去、現在、そして未来)
2部 史料編纂所と近代日本の史学史(史料編纂所の歴史とその課題;明治史学におけるドイツの影響―どれ程意義ある影響だったのか?;東京とベルリンにおけるルートヴィヒ・リース;国史の誕生と『大日本編年史』編纂の中止;近代日本史のなかで「中世」と「封建」の意味するもの―福沢諭吉から石母田正まで)