内容説明
グローバル化はいつから、どのようにして始まったのだろうか。16世紀を「銀の世紀」と呼び、アメリカ・アジア・ヨーロッパを結ぶ銀の流通から世界史を論じるフリン先生の歴史学講義。
目次
銀の流通からみた世界史の構築
グローバル化は1571年に始まった―新大陸銀とマニラ・ガレオン
徳川幕府とスペイン・ハプスブルク帝国―グローバルな舞台での二つの銀帝国
貨幣と発展なき成長―明朝中国の場合
著者等紹介
フリン,デニス・O.[フリン,デニスO.][Flynn,Dennis O.]
1947年生まれ。1968年、経済学学士(ネヴァダ大学リノ校)。1972年、経済学修士(ネヴァダ大学リノ校)。1977年、経済学博士(ユタ大学)。1978‐79年、ボイジー州立大学助教。1979‐84年、太平洋大学助教。1984‐87年、太平洋大学准教授。1987年、太平洋大学教授。1998年、太平洋大学アレキサンダー・R・ヘロン経済学特別教授。2000年、太平洋世界史研究所所長。2004年秋、ロンドン大学政治経済学院客員研究員
秋田茂[アキタシゲル]
1958年生まれ。大阪大学文学研究科世界史講座教授
西村雄志[ニシムラタケシ]
1972年生まれ。松山大学経済学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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カスタムさん
1
日本近世史に興味がある人はぜひ読んで欲しい。戦国時代好きな人が読めば、きっと思索に奥行きの出る本だと思う。 「グローバル化は1571年に始まった」「徳川幕府とスペイン・ハプスブルグ帝国」 「貨幣と発展なき成長」の3本の論文を収録。フリンに対しては様々な批判があるようだが、明朝中国の旺盛な銀需要が、新大陸〜欧州〜東南アジア〜日本を一つに繋げたという説そのものは揺るがない事実として考えて良いだろう
まるさ
1
「日本のグローバル化っていつ始まったの?」と、自分が兼ねてから抱いていた疑問にドンピシャで答えを与えてくれた本。本書ではグローバル化とは何かを定義したうえで、「16世紀〜17世紀に石見銀山の開発が本格化された時」にグローバル化が始まったと結論している。2015/05/25
Aby
1
銀を巡るグローバル化.地球規模の貿易が生活から社会まで変えていったという点で(価格の平準化よりも),大航海時代にグローバル化が始まったという方が私には納得しやすい.2013/08/02
ふみ
1
銀を通じて語られるグローバルヒストリー。地球全球がくまなく交易のネットワークで結ばれた1517年がグローバル化の始まりであるとし、南米と日本の銀がヨーロッパ商人を通じて中国に流入していく大きな流れの関係性が、中国や欧州、新大陸にもたらした現象を紐解いていく。今日では「鎖国」時代の日本は孤立しておらず、実態は幕府による貿易管理であったことがわかっている。石見銀山をはじめとする日本銀は、当時南米につぐ世界第二の生産規模を誇り、世界銀流通から富を得ていたスペイン・ハプスブルク帝国をも支えていたという。2013/05/08
Teo
1
「グローバル化は1571年に始まった」「徳川幕府とスペイン・ハプスブルク帝国」「貨幣と発展なき成長」の3論文立て。いずれも16世紀~17世紀あたりを銀の動きに視点を合わせて考察したもの。いずれにしても銀の終着地は中国であって、このあたりはフランクがリオリエントで中国の事をしつこく「シンク」と言っていたのを思い出す。銀を送り出す側がそれでどんな利益を掴んでいたのか、それを呑み込んだ中国はどうなったのかを論ずる。非常に参考になる。2010/07/27
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