目次
第1章 第一次世界大戦
第2章 ロシア革命
第3章 内戦と干渉戦のなかで
第4章 ネップの時代
第5章 「上からの革命」
第6章 盛期スターリン時代
第7章 大祖国戦争
第8章 戦後のソ連
第9章 フルシチョフ時代
第10章 ブレジネフ体制―成熟から閉塞へ
第11章 ペレストロイカからソ連邦崩壊へ
第12章 ソ連邦終焉後のロシア
補章(社会主義の七五年をふりかえって;ソ連史におけるジェンダーと家族)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
無識者
11
勉強の都合何度か読んだが失敗の経験の蓄積を学ぶのに適したテキストだと思う。国家体制と一政治勢力の統合であったり、例外的条件付きの憲法での自由の保証であったり、検察の政治勢力への従属であったり、これらが重なると何が起こるのかというサンプルが凝縮されている。著者陣もおそらくはある程度若い頃ソ連に対してそれなりの期待を持っていたと思われる人たちであるが、それらがその失敗を丁寧に分析する第一人者になってるのもこの教科書の魅力かもしれない。2021/03/22
無識者
7
スターリンは悪玉であると言われやすい。実際そうであるとしても、個人の資質の問題ではなくなぜそれが誕生したのかを追求しなければならない。それも単に共産主義とはそういうものだと単純化せずにである。スターリンは当時のソ連においてある程度民主化促進勢力であったこと、大テロル(肯定する気はないが)が末端の人からはむしろそれなりに自由を与えたこと等も見なければいけない。塩川伸明等はおそらくスターリン批判を出発点にしている学者であるが、それがむしろ「大審問官スターリン」的な虚像に距離を置くように努めており興味深い。2020/02/20
無識者
4
興味深いのはこの時点(1997)で明確にこそいってはいないもののロシア革命三段階論をとっていることである。二月革命で戦争を終了させるために帝政を廃するが、臨時政府ができ二重権力構造ができてしまい結局戦争は継続する。十月革命でソヴィエトが権力を握り終戦が叶う。つまり二月革命は十月革命でもって完成した。しかしその後にレーニンによるボリシェヴィキ独裁化第三の革命が行われる。惜しくも10月革命までで執筆者が交代してしまっているが、恐らく第八回党大会で第三の革命が達成されると見なすべきかもしれない。2019/11/29