出版社内容情報
歴史の潮流を読む
世界の歴史の大きなターニングポイントとなった年代をとりあげ,その当時,各地域の人々がどのように生活し,社会の動きをどのように感じていたのか,世界史の共時性に重点をおきながら考えるシリーズ。歴史におけるマクロとミクロの視点の交差,及び横の広がり,縦の広がりの面白さを紹介する。
目次
総論 革命のうねりと連帯の夢
1章 サッタール・ハーンのイラン立憲革命(近現代イラン史の展開と立憲革命;イランのなかのアゼルバイジャン、そしてタブリーズ ほか)
2章 「ロシア・ムスリム」の出現(一九〇五年革命とロシアのムスリム;多宗教帝国の軋み ほか)
3章 イクバールのロンドン(インド・ムスリムの覚醒;植民地インドにおける近代化とムスリム ほか)
4章 転換期の憲法(「東方問題」クレタ;メガリ・イデアの盛衰 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ピオリーヌ
10
「総論 革命のうねりと連帯の夢」「イラン立憲革命」・「ロシアのムスリム」・「インド・ムスリム」・「東方問題」といった論文が並ぶ。1905年のロシア第一革命がユーラシアに与えた影響が如何に大きかったか実感。巻末の以下の文には大いに考えさせれられる。「長い十九世紀」の西欧列強や「短い二十世紀」の西側陣営で実現したかに見えた民主主義は、前者はキリスト教国における非西欧地域の搾取を前提とし、後者も同様に「東側」と対峙し、それへの優越性を誇示する誇示を前提として成り立っていた。 2022/02/26
MUNEKAZ
4
同じ編者による前巻が、英露のグレートゲームを軸にユーラシア全体を見渡していたのに対し、今回はイスラム世界のみとパノラマ感に欠ける仕様。ただおかげで焦点は明確になっており、日露戦争によるロシアの退潮を契機に新しい政治運動の波が盛り上がる様がよくわかる。またその中でも民族的ナショナリズムか、イスラムによる連帯かで葛藤があったことは興味深い。現在にも続くイスラム主義の源流が垣間見える。2019/04/06