目次
序章 ギリシア通史は可能か―連続性の検証
第1章 ギリシア世界の形成
第2章 ポリスの時代
第3章 ヘレニズム・ローマ時代
第4章 ビザンツ時代
第5章 オスマン帝国時代
第6章 近代のギリシア
第7章 現代のギリシア
著者等紹介
桜井万里子[サクライマリコ]
1943年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了、博士(文学)。東京大学大学院人文社会系研究科教授
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感想・レビュー
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スターライト
5
エーゲ海文明から説き起こし、ポリス、ヘレニズムの時代を経て、ビザンツ帝国、オスマン帝国の侵略を受けながら独立し、その後も多難な歴史を歩んだギリシアの通史。進んだ思想、社会体制を築きながら周辺国家の影響を受けて、外国への流出、多民族の流入などでもはや「本来の」ギリシア人はギリシアにはいないのではないかと思わされるほど激動の時代をくぐりぬけてきた。ともあれ、中世・近代・現代の通史を読めたのは収穫だった。2024/03/06
じょあん
2
先史から現代までのギリシアの通史。まず本書では、そういう通史が可能かという問いが投げかけられる。これについて古代から現代まで一貫して変わらないギリシア語の使用を指摘して、それを話す人々(ギリシア人)のギリシア共和国の領域における歴史を叙述するという。とはいえ、ヘレニズム期やビザンツ期、あるいはオスマン支配期などにおいても各時代の全体の流れや制度を押さえつつギリシア共和国の領域の歴史の著述に入っていくので理解しやすい。同じ出版社のより詳細なシリーズ世界歴史大系の刊行予定に『ギリシア史』が無いのは非常に残念。2019/03/31
denken
2
事前知識として,バルカンは民族がごちゃごちゃしてるから紛争が絶えないといった説を聞いていたが,この本をみる限り,たとい同一民族でも遠慮なく争う。民族って何だろうって思う。バルバロイである他者がいつしかマケドニアとしてギリシアの一部とみなされる。ギリシア人がいつのまにかローマ人となり,時が経つと再びギリシア人と名乗る。民族というものがあまりにも伸縮自在であっけにとられる。本日国際情勢あちらこちらで紛争が起きているなか,学ぶところの多い歴史だと思う。2009/09/08
てり
1
古代以降、ビザンツ~オスマン~近現代の流れがよくわかる。「ギリシアの通史は可能か」、「ギリシア人とは誰か」の問いも含め興味深く読む。バルカンの中の一国としての視点も発見できてためになった。2022/12/16
古隅田川
0
まずは、「ギリシア通史は可能か」という序章のタイトルに驚いた。現存する国でありながら通史が成り立たないとはどういうことだろうかと考えた。だが、アテネ、スバルタに代表される古代ギリシア時代以外については無知なため、古代と現代では民族が異なるからだろうぐらいしか思い浮かばなかった。 ミノア、ミケーネ文明やローマ帝国の統治下に組み込まれて以降の時代についての記述は新鮮だった。 編者にとっては通史の意義について疑問が残るのかも知れないが、私にとっては歴史の重層性を感じることができるたいへん有意義な内容だった。2022/05/15