出版社内容情報
中央ユーラシア世界のなかで悠久の歴史を刻んできた中央アジアは、近代にロシアの支配に直面する。そこでムスリムはどのように生きたのだろう。彼らの軌跡を4人の人物に焦点をあててたどる。
小松 久男[コマツヒサオ]
著・文・その他
内容説明
20世紀の初頭、ロシア、イラン、オスマン帝国に起こった一連の革命は、ロシア領中央アジアのムスリム知識人に大きなインパクトを与えた。そして1917年のロシア革命を機に、彼らは教育を中心とした改革運動から革命運動へと突き進んでゆく。本書は、この革命の最前線に立った4人の人物の軌跡に光をあてる。表紙にあるサマルカンドの学校の生徒たちも、それぞれに激動の時代を生きたことだろう。彼らもまた革命の世代の一員である。
目次
ロシア領トルキスタンの成立と西徳二郎の観察
1 啓蒙運動と自治構想
2 革命の前夜
3 革命と内戦
4 三人のその後
著者等紹介
小松久男[コマツヒサオ]
1951年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専攻、中央アジア近現代史。現在、東京外国語大学特別教授、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
8
もうタイトルと表紙だけでバッドエンド確定。4人の改革者を狂言回しに帝政ロシアの圧政、革命の高揚、スターリンの粛正と激動の中にあったロシア領トルキスタンを描いている。興味深いのはロシアの圧力に対して、汎イスラムの連帯よりも汎テュルクの民族主義が台頭していく様。それは亡命者や出版物を通してトルコに伝わり、彼の地の民族主義にも影響を与えている。短いリブレットながら改革や独立の希望が潰えることのつらさ、切なさが詰まった一冊であった。2018/11/09
中島直人
6
(図書館)この時代のこの地域では、スルタンガリエフしか知らなかった。20世紀前半の彼らの活躍があったからこそ、今の中央アジアの世界がある。問題は様々あるのは当たり前だけれど、彼らの活躍が改めて見直されているのは喜ばしい限り。2022/08/15
コロニ
1
中央アジアの近代史って、学校教育でもほとんど触れられることがない。地名も人名も、全くピンとこないものの、なんとなく国民国家というフィクションに振り回されていく予兆のようなものは感じられました。大草原で国家は如何に成立するのか?2019/05/12
samandabadra
0
ベフブーディー、フィトラト、ルスクロフ、ヴァリドフの4人が、中央アジアの内発的な改革運動を、反対に回る保守派や帝政、移民、そして革命といった諸々の存在や出来事の中で、どのような運命をたどったかを描いた群像的な伝記。このシリーズの中ではユニークなものになっている。ルスクロフは、モンゴルに行ったことも書かれているが、カルムイクにも行かされていることを附記しておこう。最後の文字改革のところは自分がもっと展開させたいところ。他、個人的には、45pのタランチ人がどのような人なのか詳しく知りたい。資料はないだろうか2019/07/31