内容説明
フランス絶対王政を確立へと導いたルイ13世の宰相リシュリュー。そのあとを受けて絶対王政の最盛期を現出させ、国内外にその権威を誇示したルイ14世。彼らは強力な国家権力の体現者として、つねに語られイメージされてきた。だが、彼らは実際にはどのようにしてその権力を掌握し、行使したのだろうか。そのことを、近年研究の進んでいる近世という時代に特有の人的結合関係や権力秩序のなかにおくことで、明らかにしていこう。
目次
1 宰相への階段をのぼるリシュリュー
2 リシュリューと三つの敵
3 ルイ14世の少年時代とフロンドの乱
4 太陽王の神話
5 国王の栄光とフランスの疲弊
著者等紹介
林田伸一[ハヤシダシンイチ]
1954年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。専攻はフランス近世史。現在、成城大学文芸学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
95
息子のレポートをサポートするために読みました。山川出版社の世界史リブレットシリーズは初読です。ルイ14世は当然知っていましたが、宰相リシュリューについては、本書で初めて知りました。絶対的な権力者の陰には、有能な参謀が存在しているという事なんでしょうね。一つの面白そうなテーマを上手くまとめた当該シリーズは興味深いので、また機会があれば読みたいと思います。2017/01/09
新田新一
24
フランスの絶対王政を確立した2人の人物について描いた1冊。教科書的な漠然とした知識を深められる良さがあると思いました。絶対王政というと国王が強固な権力を持ち、1国を支配していたと思っていましたが、そうではなく、様々な権力闘争を経ていたことが分かります。リシュリューはまず司教として働き始め、その後有力者たちに取り入って、高い地位に登りつめたそうです。ルイ14世が最高権力者になったのは20代の時で、その後対外戦争を重ねて、自分の王権を固めていきました。二人の生き方を通して権力闘争の過酷さが伝わってきます。2024/09/21
鱒子
24
図書館本。リクエストしたら、買ってくれました(๑>◡<๑) この世界史リブレットシリーズ、揃えてもらえないかな…。この時代のフランス史は、ざっくりした基礎知識があったので、楽しくのめり込むことができました。リシュリュー、魅力的な人物です。情報戦を制した仕事のできる男。ルイ14世は…あんまり好みじゃないけど、まあ、大人物なのでしょう。2017/02/06
kenitirokikuti
7
図書館にて。岩波新書の『パスカル』(1953)を読んだ後、2016年刊行のこのリブレットを手にした。17世紀初頭の「カトリック」「イエズス会」は、荒く言うとハプスブルク家か▲ルイ14世がベルサイユを建て、そこを常の宮廷とすることで、地方貴族の反乱が途絶えてゆく。地方の支配者が、中央を客地と感じていると、独立という現象が発生する。古代においては宮廷が移動・巡回していたが、宮廷が固定すると、都へのお上りや巡礼となる。恋して愛がある限り、別れることはない、ということか。2021/02/14
中島直人
6
(図書館)この二人を、このボリュームだと、やっぱり無理がある。物足りない。いっそ絵や地図、写真等、ビジュアルに寄せ切った方が良かったのでは。2022/07/28