内容説明
百年戦争の最中、神の声を聴いたと信じて故郷のドンレミ村を出発したジャンヌ・ダルクの短くも鮮烈な生涯は今も人々の心をとらえている。死後何百年もたってから「民衆の英雄」「聖女」「愛国者」とたたえられるようになる彼女の歴史は、民衆の記憶と歴史叙述との弁証法的相互作用の典型である。本書では、同時代人たちが彼女に対していだいたイメージの複数性および多義性に注目し、彼女に関する長期的な記憶の形成を現代にいたるまでたどる。
目次
二十一世紀にジャンヌ・ダルクの伝記を書くこと
1 ジャンヌ・ダルク登場以前の百年戦争
2 ジャンヌの登場とオルレアンの解放
3 ジャンヌの捕縛と異端裁判
4 百年戦争の終結と異端判決の破棄
5 ジャンヌ・ダルクの神話化
著者等紹介
加藤玄[カトウマコト]
1972年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専攻、中世英仏関係史。現在、日本女子大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
10
ジャンヌ自身の足跡が半分、その受容史がもう半分といった塩梅のリブレット。ジャンヌをいわば「預言者」の一種と見れば、決して同時代の中で浮いた存在ではないのだが、一般的な預言者がすでに「起きたこと」を預言するならば、彼女は自らが先頭に立って預言を成就させたことが特異な部分だと指摘。また彼女の異端裁判やその後の復権裁判、さらに近代の再評価も含めて、その扱いは実に政治的なもの。歴史上の人物を公平に評価することの難しさ(というか不毛さ)を考えるよい題材である。2024/10/25
lovejoy
0
★★2023/03/09
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- 和書
- 邪馬台国と古代中国