内容説明
改革教皇権がめざす「この世のあるべき秩序」の樹立は、教皇・カトリック教会が主導権を握る闘いとなった。分裂し権力闘争に揺らぐ西ヨーロッパ世界において、叙任権闘争の一方で推奨されたのが「平和」の確立であり、成長期を迎えた社会と人々のエネルギーの放出先を、スペイン・南イタリアでの失地回復を踏まえて東方世界とする企てが「十字軍」を生んだ。一連の過程の主導者教皇ウルバヌス2世の動向と、生起した第1回十字軍の推移をみよう。
目次
ウルバヌス二世とは何者だったのか
1 皇帝と教皇の葛藤
2 ウルバヌスの巻き返し
3 「神の平和」運動の展開
4 十字軍の勧説と出発
五 聖地へ
著者等紹介
池谷文夫[イケヤフミオ]
1948年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専攻、西洋中世史、神聖ローマ帝国史。現在、茨城大学名誉教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
7
千年前の教皇選挙。カノッサの屈辱のハインリヒの支援を受けた対立教皇クレメンス三世。教皇グレゴリウスはハインリヒとクレメンスを二度目の破門にしたものの失意の中で死去。ハインリヒ派とグレゴリウス派の会合では、ハインリヒ派のユトレヒト司教とザルツブルク大司教ゲープハルトが口火を切る。グレゴリウスの後継者ヴィクトール三世は急死するものの、その後を継いだ枢機卿オドーことウルバヌス二世は巻き返しを計る。ローマでクレメンスに対し地歩を確立し、ミラノ大司教も味方につける。そしてハインリヒの息子と妻をも味方に巻き込むのだ。2025/04/08
ジュンジュン
5
「1095年、クレルモン公会議」を暗記したのを懐かしく思い出した。本書でさらに教科書情報以上の知識を得られる。なぜフランスでなのか?カノッサの屈辱(叙任権闘争)との兼ね合いとか、ノルマン人の存在など。2020/07/16
ユーディット
4
この辺は全く私の研究対象時代なので色々読んでますが、薄い本の割にはそれほど書かれていない内容もあり、頑張っていると思う。参考絵画資料や図解も多く、初めての人にも十字軍のことを知ってもらうのに悪くない。ただウルバヌス二世を知りたいというなら、彼自身についての記述が少なく、周囲の環境や状況に多くのページが割かれている。仕方ないか。2015/01/28
陽香
2
201408202016/06/02
うみ
1
ウルバヌス2世の伝記というよりは,当時の政治・社会状況がメインな感じ。なぜかハインリヒ4世とコンラートをめぐるあれこれにココロ惹かれる。2015/02/27
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