内容説明
二十世紀とは、どのような時代だったのだろうか。ナチズムに注目すると、二十世紀はどうみえてくるであろうか。ナチズムはこれまで、恐怖や、狂信、異常という言葉と結びつけられてきた。われわれの常識をこえた世界、別の時代のできごととして。本当にそうなのであろうか。本書では、現代ナチズムを、第一次世界大戦から始まる歴史的現代と、いまわれわれが生きている現代、この二重の現代を照らし合わせて考えてみた。
目次
ナチズムと二重の現代
ナチズムが登場した時代
戦争国家の建設
大衆消費社会の幕開け
人種主義と戦争
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やさぐれパンダ
10
全体で70頁ほどの小冊子。第一次大戦から説き起こして ドイツ社会の変容 社会構造などを丁寧に掬っていく。 これまで ナチスドイツ関連の本は数多く読んできたが、 コンパクトでかつ 説得的な本書に好感を持った。 そういえば 出版社は山川出版社。 懐かしい (´;ω;`)ウゥゥ 小生大学受験で 国立文系だったので 社会2科目 日本史世界史を選択して メインの教材は 高校で使った山川の教科書。 大学受験以来 約50年ぶりの邂逅となった。2021/06/02
Ighen
10
ナチズムに関して今までは深く知ろうとはしてこなかったけれど、やはり今現在とは無関係ではない歴史であり、ヒトラーの歴史見解または正当化のロジック、全ての歴史は人種ごとの生存圏の奪い合いの歴史であるという考え方の中ではドイツが世界の覇権国家と成らなかった代わりにアメリカがその地位に就く、再びひとサイクル廻っただけと著者の先生は話していました。 ですが、私はヒトラーの歴史主義を信じているわけではなく、そもそもマルクス主義者でもないのでそうは思いませんでした。2013/01/21
のの
10
ナチズムを単体で取り上げるのではなく、第一次世界大戦以降の「歴史的現代」と、わたしたちの生きている「現代」の二つの現代と照らし合わせて検証している。そこから見えてくるのはナチズムの特異性ではなく現実性だ。ヒトラーという「神」的存在がいたからナチズムが発展したのではなく、時代の流れに対応するために民衆のなかからナチズムは誕生し、成長していったといえる。わたしたちの生きている「現代」はナチズムが目覚め始めた頃の空気と似てはいないだろうか。第2のナチズムが産み落とされやしないかと、危機感を抱く。2012/03/12
ヴァン
9
ヒトラー崇拝を受け入れた当時のドイツ国民の意識について考えさせられるヒントがある。2021/05/20
かりあ
7
わかりやすくまとまってて、文章も良かった。なぜホロコーストは起きたのか。ナチ党とはなにを掲げていたのかがよくわかる。 https://www.kariabookdiary.jp/entry/2018/07/23/0655452018/07/23