出版社内容情報
アジアでは、「民主主義」という政治体制が現代もなかなか定着し切れない状況が続いている。どの国も表向きは「民主主義」を唱えつつも、実態としては軍による専制や一党独裁、制限された民主主義など、国民の自由や尊厳を重視しない政治体制となっている国が多い。
アジアでそのような状況が続くのはなぜなのか。その問いに対して、王朝国家の時代からの影響も踏まえて検討した意欲的な一冊。
西洋の政治思想史をひとつの比較対象としつつ、王朝国家の時代、植民地国家の時代、現代国家の時代と、3つの便宜的時代区分を設定して、アジア全体としてどのような大きな変化が起こってきたのか、各時代の特徴的な思想言説を参照しながら検討する。
欧米とは違う、アジア独自のファクターを描き出し、今私たちがどのような問題と向き合う必要があるのかを明らかにする。
内容説明
どのような「民主主義」が望ましいのか?「民主主義」のかたちをめぐって揺れる現代アジア―古代から現代まで、政治思想の大きな変化を捉えることで、アジア独自の問題と、向き合うべき課題を明らかにする。
目次
序章 アジアの政治思想をみる下準備(国家と政治思想;ヨーロッパ政治思想史の展開)
第1章 王朝国家の時代(アジア各地の王朝国家;儒教とその政治思想;ヒンドゥー教とその政治思想;仏教とその政治思想;イスラーム教とその政治思想;王朝国家の時代における政治思想の特徴)
第2章 植民地国家の時代(植民地化と近代西欧思想の流入;中国と日本の先駆的思想;明治日本における近代的思想言説;近代中国における王朝国家の改革言説;インドにおける知識人の政治観;アジア諸国における知識人の政治観;植民地国家の時代における政治思想の特徴)
第3章 現代国家の時代(独立過程とさまざまな政治体制;さまざまな民主主義論;権威主義;軍政;王政;共産党独裁;民主化)
終章 政治思想からみるアジア政治の課題(アジア政治思想史の考察;何が問題であり課題なのか)
著者等紹介
岩崎育夫[イワサキイクオ]
1949年、長野県生まれ。立教大学文学部卒。アジア経済研究所地域研究第一部主任調査研究員、拓殖大学国際学部教授などを歴任。専門は東アジア、東南アジアの政治発展論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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