出版社内容情報
日本列島の縄文時代は、地域によって異なる文化を育んでいた。近年の成果から明らかになった、集落の周辺に作物を植え、竪穴住居にも土壁を用い衣食住にも工夫をこらすなど、意外に豊かな縄文人の生活について論じる。
岡村 道雄[オカムラ ミチオ]
著・文・その他
内容説明
列島の豊かな風土と生物多様性を背景に、私たちの祖先はすでに縄文時代に安定した定住を持続し、高度な生活文化と精神文化を築き上げていた。いまなお現代人のなかに色濃く保たれている縄文人の心とは―縄文ユートピア論。
目次
第1章 私たちのルーツ―考古学の観点
第2章 列島、西と東―各地域の文化圏
第3章 三陸の豊かな里海―松島湾宮戸島の縄文歳時記
第4章 内陸の里山文化―発達した植物利用とサケ漁
第5章 定住を支えた交流・物流―山や海を行き交う人々
第6章 定住を支えた精神文化―葬送と祭祀
著者等紹介
岡村道雄[オカムラミチオ]
1948年、新潟県生まれ。考古学者。三内丸山遺跡の発掘調査などに関わり、縄文研究者として知られる。東北大学大学院史学専攻修了。宮城県東北歴史資料館、文化庁、奈良文化財研究所などで勤務。奥松島縄文村歴史資料館名誉館長、奈良文化財研究所名誉研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nagata
5
「日本列島にいつから人類が住み始めたのか」は、家系図のごとく辿る自らの出自以上に興味を掻き立てる。また、つい70年前くらいまでは縄文期の風土が色濃く残されており、この時期にじわじわと形作られたいろいろなものが我々を形作っているのは間違いないだろう。それにしても、1万年をこえて同じような文化、生産・生活のしかたが続いたというのは驚異というほかない。これを未開文明の様に扱ってきたのも、現代に生きる我々の見識の狭さだろう。まだまだ学ぶべきところはいっぱいある。2024/04/19
tamami
5
一万数千年に渡る縄文時代について、旧石器から弥生時代までを概観しつつ、縄文の各時代相と、列島各地の人々の暮らし・文化について、発掘の成果を基にきめ細かく描き出している。低湿地遺跡を中心に、近年の発掘技術の高度化に伴い、それまで不明であった当時の人々の生活の実態がかなり明らかにされつつあり、つい最近まで続いた日本人の生活の枠組みの多くが縄文時代以来のものであることも教えてくれる。遺跡名や業界用語が頻出し、やや煩瑣な印象を受けるが、縄文オタクを目指す人にとっては、ハンディーな教科書となるのではないか。2019/12/29
ゆずこまめ
3
発掘結果に基づいて今わかる縄文時代について知ることができてよかった。障害のある人もケアしてあげる優しさもある一方で、埋葬される人とされない人がいる。縄文時代といっても色々な時代の色々な文化がある。2024/03/26
やま
2
最新の研究に基づく縄文文化についての解説です。自然を生かして日本の各地に独自の文化が築かれたのが良くわかります。2018/10/24
Junko Yamamoto
1
マルチカルチャーの豊かな縄文時代がわかる。そしてポリオの人も一緒に生きて丁寧に埋葬されている、心優しいじだいであったことも。2018/12/01